我が子がスクールカースト下位になったら親がしてはいけないこと

第3回 小学生の「スクールカースト」問題
小学校高学年くらいから原型が育ち始めるといわれる「スクールカースト」。

同じ行動をとっても、スクールカーストのポジションによって、周りの反応や評価が異なってくることは多々ある。

では、我が子がスクールカースト下位だと感じたら、親はどうすべき? 『スクールカーストの正体 キレイゴト抜きのいじめ対応』著者の堀 裕嗣先生は次のように話す。

「『スクールカースト』に限らず、どんな集団にもカーストはあるもの。深刻ないじめにあっていたり、あまりの孤独に苦しんでいたりするのなら別ですが、もしカーストの下位にいたとしても、多くの場合は下位同士でちゃんとグループを作り、仲間同士でそれなりに楽しんでいるものです」(堀先生 以下同)

また、運動会や学習発表会などの学校行事において、クラス対抗で競うときなどには、そうしたクラス内のカーストに関係なく協力し合う光景が見られるという。

逆に、そうしたクラス対抗などの行事ですらまとまらないクラスの場合、多くは担任に力がなく、事態は少し深刻だとか。

隅っこで体育座りをした男の子

●スクールカーストによるいじめの兆候と対処法は?

では、スクールカーストによるいじめなどの兆候には、どんなものがあるのか。

「学校を休みがちになってしまうようなら、すでに深刻な事態です。その前の兆候として見られるのは、自分の都合で休日を過ごせなくなったり、携帯から離れることができなくなったりすること。『すぐ返信しなきゃ』『行かなきゃ』といった状態は、周囲からの『同調』の圧力に巻き込まれていると思われます」

そうした兆候が見られた場合には、「なんかあった?」などと、まず本人と話をしてみること。

しかし、特に男の子などは、親には話したがらず、「別に」と言って話さないことも多い。そうした場合、担任の先生などに「最近、うちの子に元気がないようですが、何かありましたか」などと相談してみるのが良いという。

「学校生活は、お母さんたちにとって『死角』です。こまめに連絡したり、相談したりしておくと、気づいていない先生も気をつけて見てくれるようになります。ただし、いきなり本人を呼んで面談をするなどはやめてくれるよう頼んでおきましょう」

ところで、中高生のスクールカーストの基準は、基本的に「コミュニケーション能力」という。幼いうちに、どのように培っていけば良いのだろうか。

「いちばん大切なのは、できるだけたくさんの人とかかわらせ、コミュニケーションをとらせること。特にこれからの時代、地域の人間関係をいかに築いていくかが、いちばんのセーフティネットになってきます。それには『自分で、助けてくれと言える』『どんな人とも雑談できる』『どんな人とも協力できる』力を育てていきましょう」

幼い頃から地域のイベントに参加するなど、親子でたくさんのつながりを作っていくことが、子どもの将来において重要なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

堀裕嗣
堀裕嗣
札幌市立中学校教諭
北海道教育大学卒。「研究集団ことのは」代表・「教師力BRUSH-UPセミナー」代表・「実践研究水輪」研究担当・「日本文学協会」・全国大学国語教育学会・日本言語技術教育学会など。
北海道教育大学卒。「研究集団ことのは」代表・「教師力BRUSH-UPセミナー」代表・「実践研究水輪」研究担当・「日本文学協会」・全国大学国語教育学会・日本言語技術教育学会など。