秋~冬に大雨災害が少なくなる理由
秋から冬にかけて大雨災害が少なくなる理由は、大雨の原因となる前線や台風の発生が少なくなるためです。
秋から冬に雨を降らせるのは温帯低気圧と呼ばれる低気圧が中心となります。温帯低気圧は偏西風によって西から東に移動し、発生から消滅までの寿命は数日程度です。そのため雨の時間も比較的短くなります。
長時間にわたって雨を降らせる前線や台風と比べると、総雨量も少なく、大雨災害も減るというわけです。
また、冬は気温が低いため、空気中にふくむことのできる水蒸気の量が少なくなります 。空気中にある水の量が夏に比べると少ないため、雨となっても降る量が少なくなります。ただし、冬は大雨災害が少ない代わりに雪による災害が発生しやすくなります。雪の場合は降水量が少なくても、数cmの積雪で交通マヒやライフラインに影響を与える場合もあるため注意が必要です。
H2:秋~冬も集中豪雨は発生している
秋~冬に大雨災害の事例が少ないからといって、大雨への備えをしなくても大丈夫というわけではありません。
秋~冬も集中豪雨は発生しています。
まずは以下の表をご覧ください。
11月~4月における1時間最大降水量のトップ5です。
※亜熱帯気候の南西諸島・小笠原諸島は除く
上記の表から分かるように、11~4月にかけても1時間100mmを超えるような集中豪雨は多く発生しています。
例えば、2020年1月27日に大分県の佐伯市では日最大1時間降水量が観測史上最大 となる117.5mmを観測しました。この大雨により、床上浸水や床下浸水、道路や河川被害などが発生しました。
また、2021年11月2日には北海道渡島地方木古内で1時間136.5mmの猛烈な雨を観測 し、床上浸水や床下浸水、河川の氾濫などが発生しました。
このように季節に関係なく集中豪雨は発生しています。
冬に集中豪雨をもたらす原因
秋~冬に集中豪雨をもたらすのは主に発達した低気圧 です。
秋から冬にかけては本来気温が低くなる時期ですが、低気圧の南側や東側では暖かい空気が南風とともに入ってきます。この暖かい空気が大量の水蒸気を運ぶことで、発達した積乱雲が生じ、夏に起こるようなゲリラ豪雨をもたらすのです。
さらに低気圧が発達すればするほど風が強く吹いて暖かい空気がたくさん入ってくるため、より積乱雲が発達して集中豪雨が起こりやすくなります。
そのため、冬の寒い時期でも「発達した低気圧」というワードを見聞きした場合は、大雨災害に注意しなければなりません。
配信: 防災ニッポン