朝の気温が一桁台になってきた晩秋の北海道。魚たちの動きも次第に鈍くなり、アングラーたちも冬の訪れを目前に感じる時期ではないだろうか。それでもアメマスなど冷水に強い魚は元気に釣れてくれる。むしろ10月~11月がベストシーズンとも聞く。そんな北の大地で今回狙うのは〝幻〟とも称される魚類、イトウ。北海道在住の私にとって身近な存在とも言えるのだが、釣り上げた経験はない。さらに事前情報は皆無。独自に情報を入手して挑んでみることにした。
たまに聞くけど、イトウってなんだ?
まず今回のターゲットであるイトウについて。ご存じの方も多いと思うが、日本最大級の淡水魚であり、2m近くまで成長する個体もいるらしい。諸説あるが、日本三大怪魚にも名を連ねている。魚類はもちろん、小さい鳥やカエルを食べることもあるという。北海道に昔から住んでいたアイヌ民族の伝説では、シカを飲み込むほどの大きさになった逸話もあるとか。漢字表記すると「𩹷(魚へんに鬼)」。まさに鬼と呼ぶにふさわしい獰猛さを持っているのだ。
よく聞く釣り場としては、北海道の道北地域の河川・湖や道東地域の湿原河川などが挙げられるが、開発などの影響で生息場所や産卵場所が少なくなり、個体数が減少しているそうだ。これにより出会える確率も少なくなり、〝幻〟というフレーズに拍車がかかっているのだろう。アングラースピリットを掻き立てる要素の多い魚でありターゲットとして人気も高いが、釣り場や釣る際のレギュレーションを遵守したり、キャッチ&リリースを徹底するなど保護を意識する必要もある。
まずは独自にリサーチ!広大な十勝川のどこにいるのか?
今回釣りをするのは十勝川。YouTubeやSNSでもイトウの釣果が盛んにアップされている河川だが、この十勝川・・・とんでもなく広い。流域面積は全国6位で北海道では石狩川に次ぐ2位。つまり、日本トップクラスの大河川なのである。ちなみに河口から水源までの流路延長は150km以上あるらしい。
私も上流域でニジマスを狙ったり下流域でアメマスを狙ったりと、割となじみのある川ではあるものの、この大河のどの場所にイトウが棲んでいるのかまったく見当がつかない。しかしながら、北海道に住んでいるアングラーの端くれとして、何としても幻の魚に出会ってみたい。そんな思いから、まずは研究論文、インターネット、SNSなどを駆使して、リサーチしてみることにした。
大まかな可能性をリサーチ!
色々とリサーチしていると、多くの情報が見受けられたが、概ね
1 水深がありゆったりとした流れ
2 若干の濁りがある
3 草木などのカバーがある
という3つの要素が多くの情報の中で共通していることが分かった。
前述した3つの条件すべてに当てはまりはしないものの「十勝川なら中流域のあそこらへんだろう」というイメージはできた。そしていよいよ釣行へ。広い川幅に対応できる8フィートのロッドを用意し、ルアーで狙っていく。
配信: 釣りビジョンマガジン