●今も後遺症に苦しむ3人は「真相究明」を求める
今回の和解で追手門学院側に明確な謝罪を求めたことや、口外禁止の条項がつかなかったことは、退職強要やハラスメントをめぐる裁判では異例のケースと言える。
原告弁護団の鎌田幸夫弁護士は「今後社会からハラスメントをなくすことへの一歩につながる」と和解内容を評価した。
ただ、3人は現在も通院していて、パワハラの後遺症に苦しんでいる。3人はそれぞれ「今もフラッシュバックで思い出してしまう」「現実感がない状態が続いていて、心の底から喜べなくなった」「いまだに職場があった駅には降りることができない」と、今の状況を明かした。
3人は2023年8月、別の元職員1人とともに追手門学院のハラスメント委員会に調査を求める申し立てをおこなっていた。今回の和解で3人は申し立てを取り下げるものの、残る1人の申し立てについては、追手門学院が適切かつ適正に対応することも和解条項に盛り込まれている。
3人は「追手門学院には和解の約束を守っていただいて、原因の究明とともに、関わった執行部や関係者の責任の所在が明らかになることを期待したい」と思いを述べた。
今回の和解について、追手門学院は、大学などのホームページに「和解条項の内容に従って、引き続き再発防止に努めてまいります。多くの皆さま方におかれましては、ご心配とご不快な思いをおかけしましたことをお詫び申し上げます」と記載した。
また、ブレインアカデミーは「受講者に対して当事者意識を確立して欲しいという思いで誠実に研修をしましたが、弊社の講師が委託の趣旨に反する一部不適切な発言を行いました。受講生の皆様及び学校法人追手門学院様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と声明を出している。
ブレインアカデミーは、山口県下関市の学校法人梅光学院でも、中学と高校の教員を対象に同様の研修を実施していた。同じことが繰り返されないためにも、今回の決着には大きな意義があると言えそうだ。
配信: 弁護士ドットコム