英語は重要だとわかっていても、子どものためにいつから何をすればいいのかわからない……。今回は『モンテッソーリ式 英語が好きな子の育て方』(日本実業出版社)の著者で「輝きベビーアカデミー」代表理事の伊藤美佳さんと娘・聖夏さんに、子どもが英語を好きになるためにおうちでできることをうかがいました。
一般的な英語教育は親の理想を押し付けてしまいがち
――「モンテッソーリ教育をベースにするおうち英語」と一般的な幼児向け英語教育のちがいを教えてください。
伊藤美佳先生(以下、伊藤) モンテッソーリ教育では、子どもの自発性や興味・関心を尊重します。まず子どもの様子を観察して、その子が今何に興味・関心があるのか注目する。大人はそれにあわせて遊びを展開していきます。これと同じことを、おうちで英語に親しむことを目的に行うのが「モンテッソーリ教育をベースにするおうち英語」です。
一方で、一般的な英語教育は、子どもの年齢に応じた内容や覚えた方がいいと言われる内容を教え込むものです。大人が提供して、子どもがそれにあわせるというやり方ですね。このやり方では、子どもが嫌がっていても「これだけは覚えてほしい」というものを強制的にやらせてしまうことにつながります。一般的な教育スタイルでは、親の理想の形を押しつけてしまいがちになってしまうと感じています。
――「このフレーズや歌を覚えてほしい」という目標は特に設定しなくていいのでしょうか。
伊藤 モンテッソーリ教育はさまざまな教材を用意して自由に遊べる環境を用意します。英語に関しても、絵本やフラッシュカード、CDなど、ある程度教材を用意するのはよいと思います。ただそれを一方的にやらせるのではなくて、子どもの反応を見ながらセレクトしてほしいですね。
英語を「教えよう」と力まなくてもOK!
――具体的には、どのようにおうち英語に取り組めばよいのでしょう?
娘・聖夏さん(以下、聖夏) 私は子どもが生まれてから、英語でも日本語でもさまざまな歌を歌って聞かせています。それも目標を決めるというよりは「娘のはまる曲はどれかな」といろいろ聞かせてみて、「あっこれだ!」というものを見つけるようにしているんです。今はまる曲はどれかなって探すほうが、子どもも楽しんでくれますね。娘は8ヶ月ですけど、英語でも日本語でも歌にはよく反応してくれます。
今はイギリスに住んでいますが、先日こちらで子どものダンスサークルに行きました。その時の反応が、ほかの子と少しちがいました。娘は先生が英語の曲をかけると、喜んで自分で真ん中に行ってしまって。まだお座りしかできないのですが、リズムを取り過ぎてバランスを崩して前のめりになってしまうくらいでした(笑)
伊藤 やはり小さいころから、英語に慣れ親しんで経験しているかどうかが重要です。サークルやお教室に行っても「楽しい」と思えば、小さな子でも積極的に参加し続けることができるんですね。ちょっと機嫌が悪くなったときも、日頃から歌や手遊びで楽しんでいると、いつも聞かせている歌や手遊びをするだけで楽しい気持ちになって、泣き止むこともあります。日頃からお母さん・お父さんと一緒にやっているか、というのはすごく大事だと思いました。
――ただCDなどを聞かせるのではなく、一緒にやることが大事なのですね。
伊藤 そうなんです。CDをただ流すだけだと、子どもは覚えません。でもそのCDの曲を一緒に歌うと、一緒に歌った曲だけは覚えたりするんですね。私のスクールの生徒さんも「一緒に歌うだけで、子どもの吸収力が全然ちがいます」とおっしゃいます。「教えよう」と考えるか、「一緒に楽しもう」と考えるかで、子どもの吸収率はちがってくると思います。
聖夏 親子で遊ぶ場にいっても、見るからに「子どものためにやっている」という感じで、自身が楽しんでいないお母さんのお子さんは、やっぱり楽しめていない感じがします。お母さん・お父さん自身が楽しいな、と思ってやっていると、お子さんも楽しんで笑っている、という印象です。なので、お母さん・お父さんが楽しめるか、笑顔かどうかということも大事ではないかな、と思いますね。
配信: マイナビ子育て