渡航直後、息子がつぶやいた一言に心がグラついたことも
「仕事の整理と各種手続き以外は、ほぼずっと片付けをしていた」と準備期間を語るねこ田さん。とはいえ、半年で無事渡航できるのはかなり順調に準備が進んだように感じます。当時を振り返りながら、“心が折れそうになった瞬間”はあるのか聞くと、準備期間ではなく現地入りした後のことを、少し複雑そうに語ってくれました。
「準備期間は大変でしたけど、一度決めるとブワーッと頑張れる性格のため、心が折れそうになったことはありません。ただし、渡航後にグッときた出来事はありましたね。それは、下の子が渡航3か月くらいたって学校の様子を話してくれたときに、『友達が僕と遊んでくれないから楽しくない。日本語を喋りたい』と言ったんです。このときは『本当にこの選択はよかったのかな』って、凄く心がグラつきました。結局当時は『5歳だからそういうこともあるか』って考えて切り替えましたが、やっぱり子どもに何か言われると、親としては心が折れそうになりますね。現地で知り合った親御さんに聞いてみると、皆さん総じて、子どもから『日本に帰りたい』って言われるとグサッとくると言っていますね」
ある意味子どもが日本を恋しがるのは、海外移住の通過儀礼的なものなのかもしれません。その言葉をすぐに叶えられない以上、親としては現地生活を最高のものにするために、全力を尽くすしかありません。
子どもが移住生活に馴染めないリスクをどう考えるのか
海外教育移住を語る際、リスクとして語られることの一つは、子どもが現地の環境に馴染めないとか、語学の壁を超えられないという問題です。実際ねこ田家も、渡航3か月で下の子が学校への登校しぶりを経験したわけですが、こうしたデメリットはどう考え、対策を取っているのでしょう。
「我が家の場合は、『風邪やいじめとかでない限り、学校に行かないってオプションはないよ』と常々伝えていました。ただ周りを見ると、子どもが学校に馴染めずに苦労しているケースを見かけたことはあります。一般的に、セカンダリーと呼ばれる中学生以上の年齢になるとケアは大変になりますが、Y1(日本の小学1年生)の頃の学習面の問題は、マレーシアではサポートの選択肢が多数あります。
例えばインターナショナルスクールに籍を置きつつも(ビザのため)休学して一軒家を学校に変えた学童保育施設のような場所があったり、ローカルの幼稚園に入れたりすることもできます。セカンダリー以上の場合、学校に行きたくないと子どもが言うと、オンライン学習や家庭教師のようなチューターを雇うことで、学習のサポートはある程度できます。しかし環境自体がダメならどうしようもありませんから、こうなると帰国を選択される方が多い印象です。
マレーシアのインターは日本ほど高くはないものの、移住そのものは教育費に多額の投資をしている状態です。だからこそ、ダメならダメと諦めて、また道を模索する方が多いのではないでしょうか」
海外移住という言葉には、キラキラしたイメージも抱かれがちです。しかし実際の準備や子育てのリスクを聞くと、それって日本で子育てをしていてもよくある問題かもしれないなと気付かされることもたくさんあります。
皆さんは自ら海外生活を選んで送るという選択を、どう感じるでしょうか。
【ねこ田】
2023年末よりマレーシアはペナン島に教育移住中。9歳5歳の子どもたちは現在現地のインターナショナルスクールに通っています。教育移住のあれこれをInstagram(@necolife_penang)にて配信中。
<取材・文/おおしまりえ>
【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518
配信: 女子SPA!
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