当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
最近、よく眠れていますか?健やかな睡眠は、心身の休養や健康のために欠かせません。
睡眠不足の状態が続くと、糖尿病など生活習慣病のリスクが高まることもわかっています。
そこで今回は、不眠と血糖値の関係について解説していきます。
睡眠不足解消のコツもお伝えしますので、血糖値の気になる方や不眠に悩む方はぜひ最後までご覧ください。
睡眠不足は血糖値の上昇につながる?
睡眠不足が慢性化すると、血糖値を上昇させる「糖質コルチコイド」というホルモンが過剰に分泌されます。
そのため睡眠不足の原因となる入眠困難や途中覚醒、早朝覚醒など不眠症状のある方は、よく眠れている方に比べて糖尿病になるリスクが1.5~2倍になるとわかっています。
なお熟睡できない原因の1つに挙げられるのは、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まったり、呼吸の回数低下が頻繁に起こる病気のことです。
睡眠時無呼吸症候群になると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効き具合まで低下します。ゆえに睡眠時無呼吸症候群では、血糖値がより上昇しやすくなるのです。
●一時的な睡眠不足にも要注意
血糖値が気になる方は、一時的な睡眠不足にも注意しましょう。
一時的に睡眠時間が短くなった場合でも、インスリンの効き具合が悪くなるからです。
参考までに普段通りの睡眠時間を確保できた日と、そうでない日の血糖値を比べてみましょう。
【普段通りの睡眠時間を確保できた日】
【睡眠不足の日】
このように、睡眠不足は普段通りの睡眠をとったときに比べて、血糖値が上がりやすくなるとわかります。
ほかにも4時間睡眠が2日続いただけで、10時間眠った日に比べて食欲が増すとわかっています。
食事や間食を食べすぎれば血糖値は上がりますから、この点にも注意が必要といえるでしょう。
●睡眠不足が与えるその他の影響
睡眠不足は血糖値を上げるだけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
・高血圧
・脂質異常症(中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝異常)
・高尿酸血症(痛風の原因となる)
・うつ病
・日中の強い眠気
・注意力低下
このように、睡眠不足は病気や事故などを引き起こすリスクも高めます。
よい眠りのために知っておきたいこと
睡眠不足を改善、解消するために「眠りのメカニズム」と「不眠の原因」について見ていきましょう。
●眠りのメカニズム
眠気は2つの要因「睡眠欲求」と「覚醒(かくせい)力」が大きく影響します。
・睡眠欲求:日中に疲労がたまると眠気が起こりやすくなる。また起きている時間が長いほど眠気が強くなる。
・覚醒力:生まれつき備わっている体内時計に指示される。体内時計の影響で、日中は眠気に打ち勝ち、就寝時刻が近づくと眠気を感じる。
さらに、シンプルながら非常に大事なことを1点お伝えしましょう。
覚醒中(日中)に蓄積した疲労を回復するために、睡眠中に脳やからだは休養を取ります。
つまり、消費カロリーが多ければ多いほど睡眠時間が長くなるのです。そしてこれは「体重あたりの消費カロリー」が関係します。
人は成長とともに、体重あたりの消費カロリーが減少する傾向にあります。
したがって年を重ねると睡眠時間が減るのは、理にかなっているといえるでしょう。
●不眠の原因
先ほどお伝えした眠りのメカニズムが妨げられると、不眠が生じます。
不眠の原因となる、いくつかの例を挙げてみましょう。
・長時間の昼寝
・日中の活動量(消費カロリー)が少ない
・夜更かし
よい眠りのためには、日中の過ごし方が重要であるとわかりますね。
配信: サンキュ!