レジリエントライフプロジェクト 「ぼうさいこくたい2024 in熊本」に参戦

熊本城ホールでトークセッション

生活の中のリスクに備え、人々の暮らしを豊かにすることを目指す「レジリエントライフプロジェクト」は、2024年10月19日、熊本市の熊本城ホールなどで20日まで開かれた「ぼうさいこくたい2024 in熊本」(主催・防災推進国民大会実行委員会)でトークセッションを行いました。

レジリエントライフプロジェクトは、防災科学技術研究所などが出資する「I―レジリエンス株式会社」が主導。個人や社会、自然災害にまつわる様々な困難を、しなやかに乗り越える生活様式である「レジリエントライフ」を提唱しています。「ぼうさいこくたい」への参加は、前年に続き2回目となりました。

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Iレジ林顧問「人口減の日本、備えは市場サービス購入を充実させるしかない」

トークセッションの冒頭、I-レジリエンスの林春男顧問は「レジリエントライフ」の概念を説明。「様々なリスクが増える一方で、日本は人口減によって自助も互助も公助も細っていく。制度による支援と、市場サービスの購入『共助』を充実させるしかなく、個人や民間企業の果たす役割は大きい」と強調しました。

個人のレジリエンスを測る「レジリエントライフスコア」 三菱総研などが開発

続いて、三菱総合研究所(MRI)とI-レジリエンス、博報堂が開発した、個人が持つレジリエンス(困難に立ち向かう力)を測る「レジリエントライフスコア」が紹介されました。

6つの因子で評価

スコアは、「災害や病気に備える」「困難な状況にも動じず前を向く」「自分の力で状況を変える」など6つの因子で評価します。

因子のうち5つは年齢が上がるほど高くなりますが、「自分の力で状況を変える」だけは若者のほうが高く、特に規模の小さい自治体に住む若者、また、能動的に行う趣味を持つ人で高い傾向がみられました。


説明:小規模な自治体に住む若者は、比較的レジリエンスが高い傾向が見てとれた(三菱総研提供)

スコアの開発に携わった、古市佐絵子MRI主任研究員は、「多くの人に使ってもらい、個人が自身の現状を知って、足りないところを伸ばすのに役立ててもらえれば。スコア自体も、さらに改善していきたい」と話していました。一般向けのスコアは、2024年12月に発売される予定です。

「令和サバイバー養成キャンプ」の価値PR

このプロジェクトでは、市民のレジリエンスを高めてもらう方法の一つとして、初めて会った人とも協力できるようになるためのプログラムを含んだ「令和サバイバー養成キャンプ」を企画、東京都多摩市などで実践しています。

トークセッションには、サバイバーキャンプで活用され、災害時にも使える製品の開発担当者らも登壇しました。

日本製紙グループの日本紙通商株式会社の龍田博之さんは、防水段ボール製のテントやバケツ、段ボールのテーブル・イスなどのメリットを紹介。タイガー魔法瓶の、新聞紙だけでご飯が炊ける炊飯器「魔法のかまどごはん」の開発者である村田勝則さんが、この炊飯器で炊いたごはんのおいしさ、そして知らない人と協力して食事の支度をし、一緒に食べることの価値を強調しました。


多摩市で行われた「令和サバイバー養成キャンプ」で、防水段ボール製のテントを組み立てる高校生たち

参画しているメディアの取り組みとしては、読売新聞東京本社が運営する防災情報サイト「防災ニッポン」で公開しているプロジェクト関連記事が紹介されたほか、2024年度に新たに加入したLINEヤフーのCSR本部災害支援推進部の安田健志部長から、「防災模試」など、同社の事業・社会貢献活動の両面からの防災に対する取り組みが紹介されました。

「レジリエントライフとは?」一緒に考えよう

最後に登壇した小林誠・I-レジリエンス社長は「『レジリエンス』はまだまだ研究中で、社会のみなさんと一緒に、レジリエントライフがどういうものなのかを考えていくことが大事。今日の発表を聞いて、”楽しく行動”していくことが、あらゆる困難を乗り越えていく力になるのではないかと感じました」としめくくりました。

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