河川氾濫への備え 個人でできる防災と事例を紹介


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地球温暖化の進行に伴い、これまでにない大雨やゲリラ豪雨が増えています。河川の氾濫によって起こる浸水、土砂災害などに、いっそうの備えをしましょう。

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河川氾濫とはどんな災害?

大雨などにより川の水位が上昇して堤防を越えたり、堤防が決壊して川の水があふれだしたりすることを河川氾濫(外水氾濫)といいます。河川氾濫は、住宅や農地に浸水の被害をもたらす洪水災害の原因となります。

川の上流で降った大雨などの影響で、川の下流で氾濫が起こる危険があることや、同じ気象条件でも川の大きさなどによって、水位が上昇し氾濫が起こるまでの時間が異なることなどに注意が必要です。

上流から大量の土砂が流されて下流で堆積し、土砂と泥水が氾濫する「土砂・洪水氾濫」になることもあります。

河川の氾濫までいかなくても、川の水位が上昇しているときには川に雨水が排水されなくなったり、川の水が下水道を逆流したりするおそれがあります。このような状態を内水氾濫といいます。

降水量が下水道の排水処理能力を超えてしまうことで、道路の側溝やマンホール、家のトイレやお風呂場の排水溝から水があふれだすこともあります。

水位・危険度レベル・洪水予報の関係

河川の増水や氾濫に備えた防災行動につなげるために、気象庁では国土交通省や都道府県と連携して、洪水によって大きな被害が想定される指定河川で洪水予報を行っています。「指定河川洪水予報」は川の水位に応じた危険度により、氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報の4段階で発表されます。

指定河川洪水予報が発表されたら、危険度に応じて次のような行動を心がけましょう。

氾濫注意情報(洪水注意報、警戒レベル2)

これから危険なレベルまで川の水位が上昇していくと予想される段階です。避難行動の確認が必要な「警戒レベル2」に相当します。指定河川が近くにある人は、今後の水位の変化に注意しながら、洪水ハザードマップで浸水想定区域を確認し、浸水の危険がある地域の人は、安全な避難場所と避難経路を検討しましょう。

氾濫警戒情報(洪水警報、警戒レベル3)

避難判断水位に到達し、これからさらに水位が上昇して氾濫危険水位に到達すると予想される段階です。自治体が発令する警戒レベル3「高齢者等避難」に相当します。指定河川の浸水想定区域に住む高齢者、障がい者、妊産婦、乳幼児など避難に時間を要する人は、この段階で早めの避難を検討してください。その他の人も、避難の準備を進めておきましょう。

氾濫危険情報(洪水警報、警戒レベル4)

まもなく氾濫危険水位を超えるか、すでに超えていて、いつ河川が氾濫してもおかしくない状況です。危険な場所から全員の避難が求められる警戒レベル4「避難指示」の発令に相当します。状況によっては自治体からの避難指示を待たずに、自らの判断で避難を開始してください。

氾濫発生情報(洪水警報、警戒レベル5)

河川の氾濫がすでに発生し、自治体が発令する警戒レベル5「緊急安全確保」に相当する状況です。すみやかに、命の危険から身を守るための行動をとってください。すでに浸水が始まっていて、安全に避難することが難しい場合は、住宅の2階以上など高いところへ逃げましょう。

なお、洪水予報河川には指定されていないものの、河川が氾濫すると大きな被害が生じる恐れがある河川は「水位周知河川」と指定されています。

流域面積(その川に水が集まる土地の広さ)が小さくて、時間的に洪水予報が難しい河川が該当し、避難判断水位を超えると警戒レベル3に相当する氾濫警戒情報が発表されます。

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