河川氾濫への備え 個人でできる防災と事例を紹介

河川氾濫の件数と発生しやすい時期

国土交通省の「河川事業概要2024」によると、平成24年~令和3年に10回以上の水害・土砂災害が発生した市区町村は887(全体の50.9%)、5~9回の市区町村は480(27.6%)、1~4回の市区町村は333(19.1%)で、日本の97.6%の市区町村で、過去10年間に1回以上の水害・土砂災害が発生しています。

河川氾濫などの水害は長雨が続く時期に発生しやすく、とくに梅雨時の6~7月、台風の上陸が増える8~9月に集中しています。日本の都市は低地に多く、川の水面より低い土地に多くの人が暮らしている地域も少なくありません。河川氾濫はしばしば、私たちの暮らしに甚大な被害をもたらしてきました。

河川氾濫の災害事例

近年の河川氾濫は、「これまでにない、記録的な大雨」に伴い発生するケースが増えています。

能登(2024年)

2024年9月に石川県の能登地方を襲った豪雨では、発達した積乱雲が連なって強い雨が降り続く「線状降水帯」が発生し、多いところでは9月20日から22日までの3日間の降水量が500ミリを超え、平年の9月(1か月間)の降水量の2倍以上となる記録的な大雨となりました。

石川県では2024年10月4日の時点で、21水系28河川で氾濫による浸水被害が確認されています。平地の少ない能登地方には中小河川が多く、短時間で水位が上昇したと推測されています。

西日本豪雨(2018年)

2018 年6月28日から7月8日にかけて、梅雨前線と台風7号の影響で、西日本を中心として全国的に記録的な大雨が降り続きました。総降水量は四国で1,800㎜、東海で1,200㎜と、平年7月の降水量の2~4倍を記録したところもあります。

この大雨によって同時多発的な河川の氾濫と土砂崩れが発生し、死者・行方不明者240名以上、家屋の全半壊18,000棟以上、住宅の浸水28,000棟以上の甚大な被害となりました。西日本を中心として全国で被害が発生したことから、気象庁では「平成30年7月豪雨」と命名しています。

平成30年7月豪雨では、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域で避難情報が発令されていたにも関わらず、高齢者を中心に多くの命が失われました。

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