●遺族「死に追いやったことが許せない」
遺族代理人の海渡雄一弁護士は「遺族に謝罪することはある意味当然だが、これまではその当然がされてこなかった。今回の刑務所や矯正管区の対応は異例のものだと思う。それは我々も前向きに受け止めている」と述べた上で、「今回一番重要なのは、本人が胸が痛いといっているのに適切な医療処置をしなかったこと。刑務官が『ぶっとばすぞ』などと言っている状況で、まともな医療が提供されているわけがない」と話した。
また、国家賠償請求訴訟で遺族側が、心筋梗塞の症状を訴えていた受刑者に適切な医療が行われなかったことで死亡したと主張している点に触れ、「名古屋矯正管区や名古屋刑務所には、遺族にもう一歩寄り添う対応を求めたい」と述べた。
男性の遺族は、死亡の知らせを受けた際に遺体のまま引き取るか遺骨として引き取るかを選ぶように刑務所側から聞かれ、遺体で引き取ることにした経緯を明かし、「身内が刑務所に入って亡くなったらほとんどの人がおそらく遺骨として返してもらうと思うが、遺骨で返してもらったら兄の体の傷は分からなかった。焼いてしまったら証拠がなくなってしまう。同じようなことが名古屋刑務所ではたくさんあったのではないかと想像しています」と話した。
そして、「兄の死について刑務所が責任を争い続けるのはおかしい。なぜ兄だけが集中攻撃を受けたのか。兄を死にまで追いやったことが許せません」と訴えた。
配信: 弁護士ドットコム