銀座フェンディ店員が外国人客に「土下座謝罪」か SNS投稿が波紋、カスハラ専門弁護士「企業は断固たる姿勢を示せ」

銀座フェンディ店員が外国人客に「土下座謝罪」か SNS投稿が波紋、カスハラ専門弁護士「企業は断固たる姿勢を示せ」

●「フェンディは『対外的にも』従業員を守る行動を見せるべき」

——カスハラが疑われる今回の事案について、フェンディは毅然とした態度を示すべきではないか、それがひいては今後の従業員を守ることにつながるという声もあります。事業者はカスハラにどのように対応すべきなのでしょうか

今回のケースに関して、取材の問い合わせをしても、フェンディは「本件についてお答えできません」とコメントしたとのことです。他の報道でも同様の対応をしているようです。

内部的には何らかの対応があったのかもしれませんが、少なくとも対外的には従業員を守る行動をしたようには見えません。

会社としては、SNSの投稿や複数の報道によって、今回のケースが世の中に広まってしまった以上、対外的には「本件についてお答えできません」とするのではなく、より踏み込んだ対応が必要だと思います。

たとえば、ホームページなどで「当該女性の入店拒否」「SNSの削除要請」及び「カスハラに対する今後の対応策」などを公表すべきでしょう。

カスハラ加害者は、誰彼無しにカスハラに及んでいるのではなく、自分よりも立場の弱い人や、言いやすい会社を選ぶ傾向があります。会社が「絶対に現場従業員を守る」という断固たる姿勢を示すことによって、将来のカスハラを防ぐための一定の抑止効果があると言えるでしょう。

カスハラ問題にうまく対応できないと、従業員の離職が多い傾向があると言われています。カスハラを放置すると、現場従業員としては安心して働くことができないため、サービスの品質の低下を招くこともあります。

SNSを通じてカスハラの状況が拡散しやすい現状に鑑みれば、会社としては、内部的な対応に留まらず、対外的にも現場従業員を守る姿勢を明確にし、抑止効果を高めることで現場従業員の安心感を高めることが重要だと思います。

【取材協力弁護士】
能勢 章(のせ・あきら)弁護士
カスハラ専門の弁護士。カスハラという言葉がない時代からBtoCの企業から依頼を受けて困難なカスハラ案件に数多く従事する。カスハラ対策及びカスハラ対応に関する情報を発信するサイト「正しいカスハラ対策で従業員を守る方法 – カスハラドットコム (kasuhara.com)」を運営している。
事務所名:能勢総合法律事務所
事務所URL:https://kasuhara.com/

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「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。
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