中華惣菜の素を使えば、簡単に調理ができる「麻婆春雨」。ツルツルとした春雨と、ピリ辛な麻婆ソースの組み合わせでご飯が進みますよね。
おうち中華の定番ともいえる「麻婆春雨」ですが、実は中国発祥ではないことをご存じでしたか?今回は、麻婆春雨の一風変わった誕生エピソードについてご紹介します。
麻婆春雨の生みの親は永谷園だった
麻婆春雨は、中国ではなく日本で生まれた創作中華。お茶漬けで有名な食品メーカーの永谷園が開発しました。商品開発はオフィスの中でおこなわれているイメージがありますが、麻婆春雨の場合はかなりユニークです。
きっかけは1979年、営業部の社員が「ぶらぶら社員」に任命されたことから始まります。当時の社長で創業者の永谷嘉男氏は、新商品のアイデアにものたりなさを感じていました。そこで社長は商品開発の能力とセンスに長けた社員を抜擢し、こう伝えました。
「これからの2年間、食べたいものを食べ、行きたいところに行き、とにかく“ぶらぶら”して新商品のアイデアを考えることに専念して欲しい。出社は自由。経費は使い放題。報告書も不要だ」
食べ歩きが仕事になるなんて、羨ましいと思うかたもいますよね。ぶらぶら社員は2年間、日本全国から海外まで新商品のヒントになりそうな物を求めて食べ歩きを続けました。なかなかよいアイデアが浮かばず、焦った時期もあったに違いありません。もう少しで2年の任期が終わる頃に、ようやく希望が見えます。
たまたま入った中華食堂で中華スープと春雨を同時に食べたところ、「組み合わせたらおいしそう」とひらめきました。そうして生まれたのが麻婆春雨です。
いまや食卓の定番となった麻婆春雨は、ぶらぶら社員の苦労の賜物と言えます。ちなみに2023年には永谷園で「2代目ぶらぶら社員」が誕生したことも話題になりました。自由な食べ歩きから、次はどんなメニューが生まれるのでしょうか。今後が楽しみですね。
■執筆/マツヤマ剛
ありとあらゆる面白情報を収集する雑食ライター。営業職で「トークのタネ」として雑学を集めていたことをきっかけにトリビアに目覚め、一念発起して編集プロダクションに転職。その後独立し、今に至る。特に、生活に関連するような知識には目がなく、日々情報収集に励んでいる。
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