「感電」したらどんな症状が起こるかご存知ですか?【医師監修】

「感電」したらどんな症状が起こるかご存知ですか?【医師監修】

監修医師:
林 良典(医師)

名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本老年医学会老年科専門医、禁煙サポーター。

感電の概要

感電とは人体に電流が流れて何らかの障害を受けることです。
家庭用コンセントや家電製品からの感電、あるいは電気設備を取り扱う業務における感電、落雷による感電などがあります。
感電による人体の損傷を電撃傷といいます。
雷にうたれた場合は雷撃傷です。

感電で受傷するメカニズム

感電の際、人体は熱および電流によりダメージを受けます。
熱でのダメージは熱傷(やけど)の一種です。

熱は、体内を電流が流れる際の電気抵抗や、高電圧によるスパークで発生します。
体内では、流れた電流が大きい程発生する熱も大きく、深い部位でも熱損傷が起きる可能性が高まります。
また、高い電圧がかかった送電線などは、近付くだけで高熱を伴う持続的な放電が起きます。アーク放電といって、この熱で熱傷を負ったり、衣服に着火して広範囲の熱傷が発生したりします。

一方、電流そのものも筋収縮や神経伝達に影響を与えます。
5mAまでの微弱な電流であれば、ビリッとわずかな刺激を感じるのみで健康被害は生じません。
しかし10〜20mAをこえると、手や足の筋肉がけいれんしたり、神経の電気信号が乱れたりして、自分の意思で体を動かせなくなります。
50mA前後からは、気絶や体内の損傷、心拍の乱れ、呼吸への影響が起きる可能性が高まります。
心臓の電気信号が乱れると、不整脈や心停止が起こり、命に関わる危険性があります。

感電の重症度を左右する要因

電流が大きく、通電時間が長くなる程、人体へのダメージは大きくなります。
通電経路も重要です。
例えば右手から入って左手へ抜けるといった心臓を通る経路では、心室細動や心停止による死亡リスクが高まります。

電流は、人体に加わる電圧が高い程流れやすくなります。
身近な電気設備の電圧は以下のとおりです。

家庭用コンセント:100〜200V

電柱の電線:6,600V

電車の架線:数百〜数万V

鉄塔の送電線:数万V以上

雷は数百万から数億Vの高電圧ですが、通電時間が短いため体内の熱損傷は起きにくいとされます。
一方で、心停止が起きやすい、衝撃により鼓膜が破れる可能性、といった特有の危険があります。

感電の原因

感電の原因には次のようなものがあります。

家電製品や電気設備の不適切な使用

電線への接触

漏電

落雷

電気工事などの業務においては、ヒューマンエラーに起因する感電事故が少なくありません。
夏季には発汗により皮膚が電気を通しやすくなることや、保護具や防護具の使用を怠りがちになることから、感電事故の件数が増加します。

日常生活における感電の原因

日常生活においては、濡れた手で家電製品を操作したり、壊れた家電製品の使用により感電することがあります。
また、乳幼児の感電事故は以下のような原因が考えられます。

通電しているコードをなめた

コンセントの差し込み口に金属を差し込んだ

屋外では電線に凧や釣竿が接触するなどして、高圧の感電事故が起こることも考えられます。

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