Snow Man最年長メンバーは俳優として大成するのか。フジ新ドラマで“明白”になったのは

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深澤辰哉が提示する存在の主張

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 空白のワンショットで一呼吸、しっかり丁寧に置いたことで、そのあとの深澤辰哉の初登場がぐんと引き立つ。直前の空白を残像としてだぶらせるかのように、今そこにちゃんといますよという存在のさりげない主張。

 他の俳優なら間延びしていたかもしれない。これは絶対に深澤辰哉でなければいけない。みたいな存在の主張を提示している。深澤辰哉は、画面から浮き立ちながらも画面に溶けいる。

 存在そのものの呼吸が聞こえる。だから「夏野」と呼ぶ、その呼び声が強調される。美羽にとっては美しい記憶を呼び起こす声。でも物語上の意味をはるかこえて、深澤の声はぼくらに直に語りかける。

段階的に変化したふたりのささやき

 美羽と綾は、中学生以来の再会だが、お互いに相変わらずだな、なんだのと、時間の隔たりを感じさせない。図書館だというのに、周囲を気にせず興奮気味に会話するふたりに対して、図書館内の静寂をかき乱す声量に対して、画面外から咳払いで注意される。

 綾も着席して仕切り直す。近況を報告し合う。声量はそれほど変わらない。するとまた会話が白熱する。今度は「お静かにお願いします」としっかり怒られる。さすがにひそひそ声になる。この声量の変化は、耳で聞かせるだけでなく、目でしっかり見る声として演出されている。

 本棚と本棚が向かい合う通路に置かれたカメラが、着席して向かい合う松本と深澤を真横から捉える。ふたりが話すセリフの内容はどうでもいい。それより大きな声量からひそひそ声へと段階的に変化したふたりのささやきを映画の一コマのように感じていたい。

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