『ブギウギ』スズ子との再会シーンで趣里からの提案が
――藤間さんもひとりの人物の一生を、通して演じてみたいですか?
藤間:そうですね。一度はやってみたいです。『ブギウギ』ではスズ子との再会のシーンが、一番印象に残っているんですけど、それも、タイ子のその間は描かれてません。趣里さんとも会っていなかったので、しっかり感情が乗せられるか、実は緊張していました。
でもあの撮影では、とても趣里さんに感謝しています。私の気持ちを汲み取って事前のテストをなしに「もう撮りましょう」と提案してくれて。長回しだったんですけど、本番になった瞬間に、子どものころに戻って涙が止まらなくなりました。趣里さんのおかげだったと本当に感謝しています。
――今回の『アイミタガイ』に通じることではないですが、趣里さんだったからという“縁”を感じますか?
藤間:“縁”でいえば、趣里さんのお父様(水谷豊)と、私の母(島村佳江)は、昔共演してるんですよ。「私たちの親って、昔共演してるんだよね!」って、そんな話をして盛り上がって、それで今自分たちがこうして共演してるんだなって、自分の中でグッときてました。
御年91歳、草笛光子の出演シーンも見どころ
――ところで、藤間さんのおばあ様の初代・藤間紫さんも晩年まで舞台に立たれていましたが、『アイミタガイ』に出演の草笛光子さん(91歳)も先輩として素晴らしいですね。藤間さんは、今年は『九十歳。何がめでたい』でも共演されています。
藤間:『アイミタガイ』では残念ながら共演シーンはなかったんですけど、完成作を観たら、本当に素晴らしかったですね。
――草笛さん、美しいドレスを着て、ピンヒールを履いて。
藤間:本当ですよね! ピンヒールでスッと背筋を伸ばして歩かれて。今回はピアノを弾く役柄で、クランクイン前に練習されたと聞きました。本当にすごい先輩だなと思います。
――最後にもうひと言。『アイミタガイ』を藤間さんがご覧になって、感じたこと何かひとつお願いします。
藤間:今って、何でも意味のあることを見つけて従おうとするけれど、後になってから、「影響されていたんだ」とか、「そういうことだった」と気づくくらいのほうがいいのかなって。そういう人生のほうがいいんじゃないかなと最近思います。そんなことを感じさせてくれる映画でもあるなと思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
(C) 2024「アイミタガイ」製作委員会
『アイミタガイ』は11月1日より全国公開中
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
配信: 女子SPA!
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