建設業界が抱える課題
従来、建設業は、環境的にも体力的にも男性社会のイメージが強く、女性が活躍するのは困難というイメージを持たれていたことは否めません。
建設業の現場で活躍する技術者・技能者全体で女性が占める割合は約3%。
また、従事者の高齢化が進行し、若年入職者が減少するという構造的な問題にも直面していて、技術や技能に優れた担い手の育成・確保が課題になっています。
建設業で活躍する女性の技術者・技能者が増えることは、こうした問題にも相応の効果をもたらすものと考えられています。
例えば,女性が活躍することで、多様な視点から長時間労働など、これまで解決することができなかった様々な問題についても工夫が生まれ、効率的でより快適な職場環境の創出につながることが期待されます。つまり、これまで以上にいきいきと女性が活躍できることは、男女を問わず誰もが働きやすくなることを意味し、業界全体にも新たな活力や刺激をもたらすことが期待されています。
建設業の担い手不足を切り抜ける!切り札は「女性の視点」
建設業ならではの「働き方の難しさ」を抱えながらも、人材不足が危機感を持って迫る中、「女性活躍」の切り口を通じて、ダイバーシティの姿勢や戦略のもと、現場で進められる具体的な取り組みが注目を集めています。
「けんせつ小町」の愛称をもつ、建設業界における女性の就労環境の改善を目的とした取り組みの一端として、戸田建設札幌支店では2018年に「ぽろ小町」を発足しました。
技術職・事務職関係なく集まったメンバーで、誰もが働きやすい職場づくりを目指して活動しています。
話を伺う中でなるほど!と、大いに共感した改善事例が「トイレ改革」です。
建設現場の事務所では、プレハブの建物の中にトイレがあることが多く「音が気になる」という声が多かったといいます。そこで「トイレの位置が配慮されているか」「消音装置が付いているか」など、細やかに現場トイレをチェックし、なかなか言い出せなかった女性スタッフの要望や意見を取り入れていくことで、現場の環境改善を行ったといいます。
「ぽろ小町」の活動に取り組む近藤郁子さん(札幌支店・管理部建築管理グループ主任)は、他業種との交流を通して、表面化していない課題がみえるようになったと言います。
「自社だけでは発想が至らなかった改善点に気づくことができました。変えられるところから変える努力をしようという想いが今の活動に繋がっています。女性社員の声に耳を傾け、ひとつひとつ解決していきたい。目の前にある小さな一つの悩みに向き合うことが、我慢をしない働き方の実現に一歩近づくと実感しています。それが、女性だけでなく男性にとっても、誰もが働きやすさとやりがいを感じられる職場になるのだと思います」と、話してくれました。
配信: SODANE