災害は時間と場所を選ばずに発生します。自宅で被災した場合に備えているという人は多いと思いますが、実際に災害に遭うとき、自分がどこにいるのかは予測できません。職場は自宅以外で多くの時間を過ごす場所なので、仕事中に災害が起きることも大いにあり得ます。
そこで今回の記事では、仕事中の被災に備え、事前にできるアイテムの準備と情報をまとめて紹介します。
こちらの記事もおすすめ→「災害時の帰宅困難に備えよう!災害発生から帰宅までの流れを解説」
災害に備えるモノ
まずは平時から備えておきたい防災グッズです。通勤中に被災した際に役立つアイテム、そして、被災後に職場で待機する際に役立つアイテムに分けて考えます。
移動途中での被災に対応!「防災ポーチ」&「車載用防災セット」
車通勤とそのほかの通勤に分けて考えてみましょう。車では持ち運べるアイテムの重さ・大きさはさほど考えなくても良いため、なるべくコンパクトにして持ち歩きたい電車・バスなどを利用した通勤とは状況が異なります。
通勤中は自宅からも職場からも離れた場所にいる可能性があるので、災害への備えがある自宅や職場にたどり着くまでに必要なものを準備しておくと安心です。
車以外の通勤では、「防災ポーチ」を持ち歩くことをおすすめします。これは自宅外で被災した際に役立つアイテムをコンパクトにまとめたもので、防災ニッポンでもたびたび紹介しています。
例えば、絆創膏やウェットシート、キャンディや使い捨てカイロなど、自分で必要だと思うアイテムをポーチに入れましょう。基本的なアイテムリストはこちらの記事でも紹介しています。
布製のポーチに限らず、入れ物は何でもOK。プラスチックボトルに入れる「防災ボトル」も人気です。
「話題の持ち歩き用「防災ボトル」を作った!水に強くてこれだけ入る」
車通勤であれば、車載用の防災セットを備えましょう。緊急脱出用ハンマー、ランタンや飲料水、携帯トイレ、衛生用品は必携です。
夏場の温度上昇や一酸化炭素中毒など、車ならではの危険にも注意が必要です。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
「車載用防災セットを作ろう! 車中泊を想定したグッズも紹介」
被災後、職場で待機するための「職場用防災セット」
東京都では、大規模災害発生から72時間はできるだけ移動せずに、安全な場所にとどまるように呼びかけています。大規模な災害発生時に、一斉に帰宅しようとすると救助活動の妨げになるほか、余震などの二次災害の恐れもあるため、職場などの身を寄せられる場所がある場合はそこに留まることが推奨されています。
職場でも災害用備蓄品が準備されていることも多いですが、簡単な非常食や毛布など、最低限の備蓄品しかない場合もあるでしょう。まずは職場での災害用備蓄品として、どのようなものが用意されているかを確認し、それに加えて職場に2~3泊できることを想定して何が必要か考えましょう。特にパーソナルなアイテムは自分で用意しておくことが望ましいです。
寝泊まりを考えると、歯ブラシや身体拭き用のシートなどの衛生用品は必要ですね。
スーツやスカートなどリラックスしにくい衣服で働いている場合は、快適なズボンやTシャツなどの着替えを準備しておくと良いですね。また、革靴やパンプスで働いている人は、スニーカーがあると良いでしょう。
替えの下着も必要になります。下着を職場に置いておくのが不安な人は、圧縮パックになったものや不織布製の使い捨て下着もおすすめです。
特に女性はメイク落としシートや化粧水などのスキンケアアイテムのほか、必要であれば生理用品なども準備しましょう。
職場の防災セットについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
「オフィスにあると安心!自分で用意する職場用マイ防災セット」
季節ごとに中身を見直そう
防災ポーチでも、車載用防災セットでも、職場用防災セットでも、季節によって中身の見直しが必要です。「寒い時季」と「暑い時季」に備えて、1年のうちに最低2回は中身を入れ替えると良いでしょう。
例えば、寒い時季では使い捨てカイロを入れたり、着替えを長袖にしたり、乾燥を防ぐハンドクリームやリップクリームを追加するのもおすすめです。
暑い時季には、汗拭きシートや塩タブレットを入れたり、非常食を暑さで溶けないものに変えたりすると良いですね。
事前にしっかり確認したい情報
モノの準備とあわせて、情報の確認もしておきましょう。家族の連絡先や、非常時の家族との連絡方法をはじめ、職場周辺の被災リスクも確認しておくと安心です。
家族との連絡方法
非常時には電話がつながりにくくなることもあります。そんな時、家族とどうやって連絡を取り合えばよいでしょうか。事前に家族間で確認しておかなければ、行き違いになって安否確認がスムーズにできないかもしれません。主な連絡方法を2つ紹介します。
・災害用伝言サービス(171)
災害発生時に利用できる伝言サービス。171に架電して、相手の電話番号を入力すると、伝言を残すことができます。毎月1日と15日に体験利用が可能です。
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
・三角連絡法
遠方に住む第三者を中継して連絡を取り合う方法です。被災地内どうしでの通話はつながりにくく、被災地の外へは電話が比較的つながりやすい場合があります。そのような時に有効なやり方です。離れた場所に住む親戚や知人にあらかじめお願いしておき、その人に伝言を残すことで安否確認をしあいます。
また、家族の連絡先(電話番号)は確実に記憶していますか? スマホの電話帳に入っているが覚えていないという場合、スマホの充電が切れると連絡を取ることができなくなってしまいます。
そのような事態を防ぐために家族の連絡先の情報をカードにまとめて、財布などに入れて常に持ち歩いておくのをおすすめします。
こちらの記事では緊急連絡先などの情報をまとめた「防災名札」を子どもに持たせるのにおすすめと紹介していますが、大人でも大いに役立つアイテムです。
「災害時に子どもを守る!100均グッズで「防災名札」を作ろう」
職場周辺の被災リスク、最寄りの避難所(ハザードマップ)
職場が安全な場所とも限りません。ハザードマップを確認して職場周辺の被災リスクを確認しておくことをおすすめします。最寄りの避難所もチェックしておきましょう。津波のリスクがあるなら避難しやすい高台はどこか確認したり、リスクを避けて避難所に行くルートを考えたりしておくと良いでしょう。
ハザードマップは自治体のウェブサイトでも公開していますが、国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」では全国のハザードマップを見ることができます。
帰宅経路を複数検討
職場で被災した場合、どうやって自宅に帰るかも検討しておきましょう。いつも電車で通勤しているなら、徒歩で帰るルートを複数考えておくと良いです。
東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県を始め、大きな都市などでは、帰宅困難者のための一時滞在施設を準備しているほか、徒歩で帰宅する人たちを支援するための「災害時帰宅支援ステーション」も民間の事業者と協定を締結して災害時に使用できるようにしています。そういった施設も活用できるように、事前に場所や支援内容の確認をしておくと良いですね。
配信: 防災ニッポン