犬の『終活』について考えてみよう|今から考えておきたいポイントを獣医が解説

犬の『終活』について考えてみよう|今から考えておきたいポイントを獣医が解説

自分の死後に家族への負担を減らすためや、残りの人生を有意義に過ごすために「終活」を始める方が増えてきました。そこで、今回は犬を飼っている方に「犬の終活」についてお話したいと思います。

どこまで延命治療を望むのか話し合っておく

今現在高齢犬を飼っている飼い主さんには、犬が重い病気にかかってしまった場合に、どこまで治療を施すかをあらかじめ考えておくことをおすすめします。

完治が難しくいわゆる延命治療となった場合に、どこまで治療を望まれるかは飼い主さんによって違ってきます。

延命治療は犬が自分の口から食事を摂れるまでにしたい、といった方や、とにかく最後まで点滴をして延命させたいといった方まで、飼い主によって考えもさまざまです。

獣医師は飼い主の意向をききながら対処していくことになります。

飼い主さんが一人暮らしの方なら、その方の考えですすめていけばいいのですが、ほかにも家族がいる場合には意見が分かれることもあります。

入院はかわいそうという人や、ここは思い切って手術して入院させようと、大きく意見が分かれてしまうこともあります。

高齢犬は数日のうちに具合が悪くなることも少なくありません。

どこまで治療するのか、家族間で話しあっておくことは大切です。

まずは、自宅で看取りたいのかどうかだけでも決めておいたほうがいいと思います。

なぜなら、高齢犬を動物病院で入院させる場合には、自宅で看取れなくなってしまう可能性が常にあるからです。

病院で預かっている最中に容体が急変して亡くなってしまう可能性はゼロではありません。

犬の性格を考えて、病院に預けるのはかわいそうだからやめよう、と決める方もいます。

また、ご自身の性格上、最後までやってやらないと悔いが残るので、入院させてでも点滴延命を望まれる方もいます。

どういう方向でいくのか、家族間で話し合っておくと、急な病気で動物病院に行ったときにも、獣医師からの提案に判断しやすくなるかもしれません。

このことは、犬が亡くなった場合に飼い主が受ける心のダメージに影響すると思うので、しっかりと考えておいてもらいたいところです。

エンディングノートの作成

人では終活の一環として、「エンディングノート」を作成する人が増えています。

残された家族が困らないように、自分が所有している財産についての情報を書いたり、家族への感謝の想いを書いたりと内容は人それぞれのようです。

ここでは、「犬のためのエンディングノート」を作成する場合、どんなことを書いたらいいかを例としてあげておきます。

犬の情報を書く

犬の名前

性別(去勢、避妊手術済みかどうか)

生年月日

治療歴や予防歴(ワクチン、フィラリアなど)

現在治療している病気や薬について、薬のアレルギーがあれば書いておく

かかりつけの動物病院の情報、担当の獣医師名

食事について。好きな食べ物(ドッグフード、おやつの名前)、与える回数、時間

排尿、排便はどこでするか(屋外、犬用トイレ)

散歩の時間、回数

犬が好きなこと(どこを触られるのが好きなのか)

犬が嫌いなこと(触られると嫌な場所、人、大きな音など)

犬が延命治療となった場合、どうしたいか?

費用はいくらくらいかけられそうか
どこまでやるか
犬が写っている写真も1~2枚あるといい。
犬を世話してくれる人の情報
犬が亡くなったことを知らせる人
犬を預かってくれる施設(老犬ホーム)の情報
犬の余生にかかる費用をだれに預けるか
犬の葬儀(合同か個別かなど)や供養法について
犬といっしょにやりたいこと、行きたい場所
犬を飼ってから今日までの思い出など

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