自民・公明両党が過半数を割った衆議院総選挙を受けて、政府は11月11日に特別国会を招集する。
この特別国会では、内閣総理大臣を指名する選挙がおこなわれるが、もしも1回目の投票で「過半数」を得る人がいなかった場合、上位2人による「決選投票」となる。
実は、この決選投票に関するルールが、憲法に書かれていないことをご存知だろうか。
●「決選投票」で同数だった場合「くじ引き」で決まる!?
日本国憲法では(1)総選挙から30日以内に国会を招集すること、(2)総選挙のあとに初めて国会の招集があったとき、内閣は総辞職すること、(3)内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名すること――が定められている。
また、衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合は、両議院の協議会が開かれる。それでも一致しないような場合は、衆議院の議決が優先される。ここまでは、中学公民の授業などで習った通りかもしれない。
一方、首相指名選挙に関するルールは、衆議院規則(参議院規則)に記されている。これによると、(ⅰ)投票の過半数を得た人が指名される、(ⅱ)過半数を得た人がいない場合は、上位2人が決選投票して、過半数を得たほうが指名される。
さらに、もしも「決選投票」の2人の得票数が同じだった場合は、「くじでこれを定める」とされているのだ。「えっ、くじで決めるの?プロ野球のドラフト会議じゃないんだから」と思う人がいるかもしれない。そこで衆議院に問い合わせた。
衆議院広報課によると、くじの方式は具体的に定められたものはなく、くじになった場合は、議院で協議して定めることになるという。これまでに衆院でくじの例はないそうだ。
今回の総選挙で与党は大敗して、過半数を割ってしまった。首相指名選挙で決選投票がおこなわれた例はこれまでに4つあるとされる。はたして、石破茂首相は「首相指名」されるのだろうか。
配信: 弁護士ドットコム