はじめて内視鏡検査を受けたあと、がんを早期発見するためには、どれくらいの頻度で内視鏡検査を受ければよいのかと疑問に思われる方が多いのではないでしょうか。今回は日本消化器内視鏡学会のガイドラインをもとに、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査について、検査を受ける頻度について解説します。
初回検査結果のあと、次回はいつ受ければ良い?
胃内視鏡検査の場合
初回検査結果を受けたあと、次回の胃内視鏡検査をいつ受ければ良いかについては、胃がんになる危険性が高いかどうかによって異なります。現在、胃がんの多くはピロリ菌の感染による萎縮性胃炎が原因と考えられています。ピロリ菌感染や萎縮性胃炎などの所見があった場合には、翌年にも胃内視鏡検査を受けたほうが早期発見につながります。また、早期胃がんの内視鏡治療を受けた方の場合も、年に一度の間隔で受けるのが良いでしょう。なぜなら、胃がん治療を受けた部位とは別に、早期胃がんが発生するリスクがあるためです。これらに該当しない方の場合でも、胃がんの早期発見のためには、2〜3年間隔で内視鏡検査を受けることが推奨されています。
大腸内視鏡検査の場合
また、大腸内視鏡検査については、大腸にとくに異常がない30代までの方の場合、受ける必要はそれほど高くないと考えられています。40代を過ぎると徐々に大腸がんなどのリスクが高くなるため、受診が必要です。その結果問題がなかった場合は、5~10年間は検査を受けなくてもリスクは低いとされています。初回検査結果で2個以内の小さなポリープが発見された場合には3~5年後に、3~9個の小さなポリープが発見された場合には3年後、それを超える場合には1年に一度の頻度で大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。大腸にはヒダが多く、ヒダの裏に病変が隠れてしまって見えない事もありますので、1つでもポリープを指摘・切除された場合はその翌年も検査を受けて頂くと安心です。
がんの早期発見のために
がんの早期発見には、定期的な内視鏡検査をおすすめします。その頻度については、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査など検査の種類によっても異なるので、当然受ける人によっても違います。何年ごとが良いと一概にはいえませんが、日本消化器内視鏡学会のガイドラインを参考にしながら、定期受診されるとよいでしょう。初回検査結果で何かしらの所見がみられた場合には、1年後にまた検査しておくと安心です。
配信: 医科歯科健診コラム