●マキバオーのキャライラストの宣伝利用について著作権法上の権利侵害が認められる
——「みどりのマキバオー」のキャラクターイラストを使って、サービスを宣伝することにはどのような問題がありますか。集英社や、つの丸さんなど、出版社・作家側の権利侵害が認められる可能性はあるでしょうか
キャラクターのイラストは、著作物であり、第三者が許諾なくコピー（複製）やインターネット配信（公衆送信）をおこなった場合、権利侵害を構成し、著作権者は差止めや損害賠償を求めることができます。
ここで、『みどりのマキバオー』のイラストの著作権（財産的な権利）が誰に帰属するかですが、原始的には創作者に帰属するので、つの丸さんが出版社などに権利を譲渡していなければ、つの丸さんが当該イラストについての著作権を有します。
第三者が許諾なくおこなったコピー（複製）やインターネット配信（公衆送信）は権利侵害となり、つの丸さんは著作権に基づいて、第三者に対して差止めや損害賠償を請求することができます。
したがって、運転代行業者が、著作権者の許可なく『みどりのマキバオー』のキャラクターイラストを使って、サービスの宣伝をする行為については、著作権者との間で、権利侵害が認められるということになると思います。
また、著作権法では著作者人格権という人格的な権利も認められています。著作者人格権は譲渡することができませんので、つの丸さんに帰属します。つの丸さんは著作者人格権のうち、氏名表示権を有しているので、つの丸さんが創作した著作物について、つの丸さんの氏名の表示をしない状態で利用をした第三者については、差止めや損害賠償を請求することができると思います。
なお、運転代行業者のインスタグラムのアカウントは11月6日時点で閲覧できなくなっており、削除された可能性があります。
【取材協力弁護士】
坂野 史子（さかの・ふみこ）弁護士
弁理士資格を有し、企業法務・顧問契約に注力。知的財産・労働問題等の個人事業主・企業において生じる法律問題全般の相談に対応。理系の大学からメーカー、特許事務所を経て2012年弁護士登録。静岡県弁護士会所属。
事務所名：静岡のぞみ法律特許事務所
事務所URL：http://www.s-nozomilawpat.jp/
配信： 弁護士ドットコム
