妊娠24週まで仕事を継続!28週から管理入院に
――妊娠してから、お仕事はどうしていたんですか?
佳奈 メーカーの会社員として働いているのですが、ちょうどコロナ下でリモートが推奨されている時期だったので、主に在宅で仕事をしていました。
――リモートとはいえ、3つ子妊娠でいろいろ症状もあるのにとても大変だったのではありませんか?
佳奈 大変でしたね。ただ、本当に体調が悪いときは仕事を休んでいましたし、ほかにも午前中だけ仕事をして午後は休んだり、出社のときはタクシーを使って行ったり。なんとかこなしていました。産休に入ったのは妊娠24週からです。当時、すでに腹囲は100cm前後で、はたから見れば臨月の妊婦さんに見えたと思います。
思い返すと、いろいろ症状はありつつも妊娠経過自体はよいほうだったのかな。入院前は切迫早産(せっぱくそうざん)や自宅安静を言い渡されたりもせず、気晴らしに近所を歩くなどもしていました。最後のほうはすぐに疲れるので、少し歩いては休む、まるでおばあちゃんのような動きでしたけど(笑)。
――管理入院はいつからしましたか?
佳奈 管理入院は妊娠28週からです。直前に夫の誕生日があったのでどうしてもこの日は家にいたいと先生に伝えていたら、かなえてくださり「パパのお誕生日会も終わったことだし、入院しますかね」と。先生、夫の誕生日のことをカルテに書いていたようです(笑)。
当時、子宮口はかろうじて閉じていたらしく、先生からは「まぁ、よくもっているほうだよ」と言われました。ただ、いちばん下にいた二男が骨盤に頭を突っ込んで下がってきていて、子宮頸管(しきゅうけいかん)も短めになっているとのことで、入院になったんです。
――管理入院中のことを教えてください。
佳奈 最初は大部屋に入院し、いずれMFICU(母体胎児集中治療室)に移ることが決まっていたのですが、医師の「もう少しこまかく診ていこう」との判断で入院4日目にはMFICUに移動することとなりました。MFICUは分娩室、診察室、ナースステーションも目の前で万が一のことがあったときにとても安心できる環境でしたが、基本部屋から出てはいけないのとシャワーもNG。身体は拭くのみでした。
最初の大部屋で入院仲間に恵まれましたし、移動すると生活が制限されるため、自分的にはもうMFICUに行くのか…早いな…と正直、思いましたが、子どもたちの命がいちばんですし、自分の一存で決められるものでもないので、ただただ指示に従うのみでした。
手術室で、夫に手を握られながら、迎えた帝王切開
――出産はいつでしたか?
佳奈 妊娠32週です。最初は34週までもたせたいという気持ちが先生にあったようなのですが、万が一のことが起きて緊急帝王切開になるよりも、さまざまなスタッフがそろう万全の体制で予定帝王切開を行ったほうがいいと、手術のスケジュールを早めることになりました。
私、もともと手術とか血とかがとてつもなく苦手なタイプなんです。だから帝王切開前はとにかく怖くて、不安でした。輸血が必要になるかも…的な書類にサインをお願いされるのですが、それすらも脅しのように思えてしまって…。ビクビクしていましたね。
――実際の帝王切開はいかがでしたか?パパは立ち合うことができましたか?
佳奈 当日は夫が立ち合いました。出産したのは2022年の2月ですが、当時はまだコロナ下で、入院中は面会がいっさいダメだったので、その日は1カ月ぶりに夫に会えたんです。しかも通常、帝王切開だと手術室には入れないと思いますが、私が出産した病院は手術室の中まで立ち合いが許可されていました。
――それはよかったですね!
佳奈 はい。初めての出産で、帝王切開で、不安しかなかったのですが、夫が立ち合ってくれたことが本当にうれしくて、心強かったです。枕もとで「ママの手を握ってください」なんて看護師さんに夫が言われて、お互い小っ恥ずかしい思いをしましたけど(笑)。
――スタッフはたくさんいましたか?
佳奈 産科の先生3名、新生児科の先生3名、麻酔科の先生、助産師さんなど…。パーティションがあるので、向こう側にいる人たちは見えなかったのですが、夫いわく「20人くらいいた」らしいです。
――多いですね!赤ちゃんが生まれたときの気持ちを教えてください。
佳奈 1人目の長女が生まれて声を上げた瞬間に感動して、涙があふれました。それから、2人目の長男、3人目の二男が生まれて…。2人目、3人目と立て続けに生まれてきたので、そこからは感動が追いつかない感じでした(笑)。だけど「本当に私、3人も産んじゃったんだ…!」、そんなふうに感じたことはよく覚えています。
お話・写真提供/佳奈さん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
仕事をしつつ、3つ子の妊娠生活を送っていたことを、なんてこともないように語る佳奈さん。そのパワフルさに驚きのインタビューでした。
後編の記事では、3つ子ちゃんの新生児期、退院後の様子や大変な3つ子の保活について聞きました。
「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。
配信: たまひよONLINE