料理を作っていることで“心が整う”
小竹:料理には「作る」「食べる」「食べてもらう」の3つがありますが、亜希さんはどれが好きですか?
亜希さん(以下、敬称略):若いときは「食べる」が1番で「食べてもらう」が2番、「作る」が3番でしたけど、今は断トツで「作る」が1番で、「食べてもらう」「作る」の順番ですね。
小竹:それはどのタイミングで変わったのですか?
亜希:もちろん食べてもらうために作るのですが、作っている時間がすごく心が整うんです。なんかいい人になった感じ(笑)。
小竹:そっちの整うなのですね(笑)。
亜希:私は普段はがさつですが、料理の仕込みは繊細なんです。だから、例えば元気だから作ることができるとか、そういうところに転換できるようになってきたんです。
小竹:うんうん。
亜希:朝起きて胃が重かったら、やっぱり作りたくない。朝起きてちゃんと作れるのは、自分を律して元気だからだと改めて感じると、作るのはすごいことなのではないかと思って。だから、食べてもらっている顔を見るよりは、作っている自分の時間のほうが私は好きです。
自家製のぬか漬け(亜希さんのInstagramより)
小竹:じゃあ、朝のお弁当作りは最高ですね。
亜希:整うし達成感はあるし、最高に自分を上げられる時間です。お弁当がない日よりも、お弁当があって、そのノルマを達成したときのほうが、その後もいい仕事ができたりします。
小竹:私は切っているときに集中しているのがすごく好きです。綺麗に切れたときに自分で自分を褒めています(笑)
亜希:自分で自分に合格点を出すのは大事ですよね。私は朝5時に起きて動かす自分の手や胃の調子とか、健康のパラメーターもくっついているので、お弁当にはいろいろなエキスが入っています。
手作りのお弁当(亜希さんのInstagramより)
“舌コピ”には絶対の自信がある
小竹:食べるのも好きですか?
亜希:好きですけど、食べるのは本当に最後です。味見になっちゃっていますね。私の「食べる」は外で食べることですね。家で食べるのは味見くらいです。
小竹:外ではどういう料理を食べるのですか?
亜希:最近は料理の仕事も多いから研究をしたいので、多国籍料理も行きますし、フレンチも行きますし、アジア料理も行きます。今まではお寿司とかお蕎麦とかが多かったですが、ちょっと角度を変えたりもしていますね。
小竹:お店に行くと、「これ家で作れるかも」と思うこともありますよね。
亜希:すごく感じますね。だから、音楽の人は耳コピができますけど、私は絶対に“舌コピ”ができると思う。「誰よりも私の舌はすごいのよ」と言っている人と対決したい(笑)。
小竹:“舌コピ”対決ですか(笑)。最近“舌コピ”したものはありますか?
亜希:“舌コピ”だけだと真似になってしまうから、そこにアレンジを加えると自分だけのものになるとは思っています。今年の夏にロスに行ってアメリカの料理を結構食べたのですが、盛り付けも大きくて大胆な料理が多かったので、そういうのを見ると“舌コピ”だけではなく“目コピ”もしたくなりますね(笑)。
小竹:料理家としてのレストランの楽しみ方になっていますね。
亜希:そうなんです。だから、外で食べて誰かの味を知るというのは大事ですね。自分の家のものだけだと視野も狭くなるし、同じもののルーティンにもなってしまいますからね。
配信: クックパッドニュース