会社が実施する健康診断について
会社が実施する健康診断は、労働安全衛生法により義務づけられたものです。労働者の健康確保を目的としています。基本的にその費用は会社負担となりますが、健康診断の内容によっては自己負担となるケースもあります。健康診断にかかる費用について、どこまでが会社負担になるのかなど、疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、健康診断の費用負担や診断結果の取り扱いについて解説します。
会社負担となる4種類の健康診断
健康診断の費用を会社負担とすべきなのは、労働安全衛生法により事業者に義務づけられている健康診断のみです。そのため、基本的に会社負担となるのは、一般健康診断・特殊健康診断・じん肺健康診断・歯科医師による健康診断の4種類です。
オプション検査の費用負担
オプション検査については、自己負担としてもよいとされています。もちろん、会社負担としたり、費用の一部を補助したりすることも可能です。会社の実情と合わせて規定するとよいでしょう。一般的なオプション検査の例としては、胃カメラ検査や乳がん検査、子宮頸がん検査、肝炎ウイルス検査、腹部超音波検査などが挙げられます。そのほか、人間ドックによる検査や、再検査の受診についても会社が負担する義務はありません。
健康診断の実施後の会社義務
健康診断を実施したあとは、診断結果の内容にかかわらず、受診者全員に健康診断の結果を文書で通知する必要があるとされています。また、会社は、健康診断結果の記録を保存しなければなりません。例えば、業務災害が原因と疑われる健康被害が発生したときなどに、過去の健康診断結果を確認したり、保健指導をしたりすることができるように保存しておく必要があるためで、会社が保管します。保存方法については、書面か電子データによる保存で、保存期間は5年間です。なお、常時使用する従業員が50人以上の会社においては、所轄の労働基準監督署へ結果の報告義務もあります。健康診断の実施に関して、受診者数や有所見者数を報告書に記入し提出します。
まとめ
健康診断にかかる費用は、基本的に会社負担です。ただし、労働安全衛生法に定められていない一部の健康診断の費用については、従業員の自己負担にすることが可能です。また健康診断について本人に通知することや、診断結果の保存が義務付けられていることも押さえておきましょう。
配信: 医科歯科健診コラム