私的!釣りに向いている車ランキング【フィッシングライターが釣り人視点で考えてみた】

私的!釣りに向いている車ランキング【フィッシングライターが釣り人視点で考えてみた】

多様な釣りを楽しむために、なくてはならないのが車。どんな車でも釣りには行けるのだが・・・語り部(←筆者のことです)のような釣りライターが選ぶのだから、ありがちな一般論で終わるつもりはない。〝本当に釣りに向いている車とは何か〟を独自に考察する。

本当にSUVやミニバンが釣りに向いているだろうか?

釣りはいいよな・・・。夜明け前の誰も走っていない道路を、愛車に乗って釣り場へ向かうのもまた格別だよな・・・というわけで、今回のテーマは釣り車。ネットで釣り車について調べると・・・「悪路走破性のいいSUV、積載性に優れるミニバンがおすすめ」 といった語り口が常套なのだが・・・「本当にそうか?」と語り部は問いたい。

語り部は淡水がメインではあるが海釣りもやるし、まあまあ多種多様な釣りをする方だと思う(対象魚種を列記しかけたがあまりに多かったのでやめた)。それでも、ランクルやジムニーなどの本格クロカンはおろか、四駆の走破性が必要だと感じた場面は・・・ほぼない。強いていうなら、林道を分け入るような山岳渓流か、荒れたスロープでボートを降ろしたときくらいなものだ。日本の釣りでそんなシーンは極々一部に過ぎない。

語り部が知る限りこの国の道路舗装率はトップレベルであり、クロカン車で荒れた未舗装路を超えて釣り場へ行く・・・なんてのは半ばファンタジーでさえある。ちなみに、軽量のクロカン車なら砂浜では無敵だが、そもそも砂浜は車両の乗り入れが禁止された場所が多い。

釣りといっても千差万別なので、釣りの数だけ向いた車はある、というのが答えだろう。しかしながら、語り部はすべての釣りの経験があるわけではなく、すべての車に乗ってきたわけでもない。あくまで〝私的〟という断りを入れたうえ、自分の経験から語らせていただきたいと思う。

釣り車に必要な5つの要素とは?

では、釣り人が考える、釣りに向いた車に必要な要素を5つ挙げていこう。

●釣り的積載性能

単純な積載量ではなく、「釣り的」となるとちょっとだけ違う。例えば、バス釣り用のロッドは多くが1ピースで、7フィート(約2.13m)クラスが当たり前。他の釣りでも、ポイント移動の際にロッドを畳まずに車に積載したい。なので、ある程度の室内長が必要になる。また、釣りから戻ったときに濡れモノ、汚れモノをザッと置ける気軽さも欲しいものだ。さらに、荷台で釣りの準備もできたら最高である。

●長距離走行性能

近所の釣り場にしか行かない人には当てはまらないかもしれないが、都市部に住んでいたり、多様な釣りをする人は片道1~2時間の車移動はザラだろう。語り部も片道500kmの遠征を繰り返していた。なので、車の走行性能が悪く、現場に着く頃にはすでに運転で疲れてしまっているようでは釣り以前の問題だ。ほんのちょっとの未舗装路を走るための悪路走破性よりも、そこに至るまでの高速道路や一般道をいかに疲れずに早く移動できるかの方がはるかに重要。なので、それなりに速く、かつ安定した走行性能を持つ車が釣りに向いている。

●車中泊性能

夜討ち朝駆けが釣りの基本である。とはいえ、朝4時から釣りをするとして、片道2時間走るとしたら、起床は1時半・・・。普段から早寝する人でもない限り、万全の体調で釣りに挑むのは難しいだろう。ならば、夜のうちから現場に着いて車中泊すればいいのだ。車によってかなり得意不得意が分かれる分野である。

●釣り場でのステルス性能

釣り師たるもの〝どこで釣りをしていたかライバルにバレるのは避けるべし〟である。このSNS時代、目立つ車でポイントに入っていたらたちまち場荒れしてしまうかもしれない。また、地元民に対するプレッシャーも低い方がいい。(私のような)田舎の人というのは県外ナンバーのド派手な車が近所に止まっていたら警戒してしまうものなのだ。釣り場を守るため、「目立たない」という性能は重要である。

●汚しても気にならない性能

釣り場へ行く途中の農道や林道を走ると、ボディに草や木の枝が当たって擦り傷がつくこともままある。多少のぬかるみを進むこともあるだろう。雨のなかオカッパリをして車に戻れば、当然マットは汚れる。撒き餌、練り餌、生き餌、ワーム・・・全部車を汚すし、臭いも残る。釣った魚のヌメリ汁や塩などでも当然汚れる。そんな釣りの傷や汚れを受け止めてもらうには、適度に古くてボロく、安い車の方がいいに決まっている。

以上、5つの要素を5点満点で採点し、その合計点数をもとに「私的!釣りに向いている車」をランキングしていこう。

いかにも釣りに向いてそうなのに、実はそうでもない車

Cランク(14点以下)

ジムニー(スズキ)合計11点

●釣り的積載性能 2点

●長距離走行性能 1点

●車中泊性能 3点

●釣り場でのステルス性能 2点

●汚しても気にならない性能 3点

一見、釣りに向いてそうな顔をしているが(語り部的には)全然向いていない代表車種。まず大問題なのが、積載性能。室内長は1795mm。実際に試してみたが、ルーフ下のロッドホルダーには、ワンピースバスロッドを積むことはほぼ不可能。工夫すれば6フィート6インチ(198.1cm)のロッドがギリギリ真っ直ぐ収まるかどうかという感じ。それ以上の長さだと2ピース以上に分割しなければ積載不可。長距離の高速移動も苦手にしていて、揺れるし、遅いし、うるさいし、横風にも弱いし…結局疲れる。車中泊もできることはできるが、決して得意ではない。また、新型はいまだに買取り価格が高く、できれば傷つけたくない車だ。自慢の走破性を発揮できる釣り場がどれだけ日本にあるだろうか?

ハイラックス(トヨタ)合計11点

●釣り的積載性能 2点

●長距離走行性能 3点

●車中泊性能 2点

●釣り場でのステルス性能 1点

●汚しても気にならない性能 3点

これもそんなに釣りをしたことのないライターが「おすすめの釣り車!」と書いてしまいそうな一台。しかしどうだ、荷室長は1565mmで一般的なワンピースロッドをまっすぐに積むことは不可能。10フィート越えの2ピースロッドさえ怪しい。走行性能はというと、リアのサスペンションが昔ながらの板バネなので、お世辞にも疲れにくいとはいえない。車中泊もかなりの工夫をしなければ難しい。無論、釣り場ではド目立ちする。車両価格も高いので、汚したくはないというのがオーナーの本音だろう。ただ、めちゃカッコいい。

4代目ジムニー(スズキ)。文句なしのカッコよさだが…。 ©望月俊典

8代目ハイラックス(トヨタ)。タックルを積んだボートを牽引するなら問題なし。 ©望月俊典

車体全長は5,335mmもあるが、荷室長は1,565mm。座席と荷室が分かれているためどうしてもロッドは積みにくい。 ©望月俊典

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