●「嫌知らず」に陥らないために
——「嫌知らず」が度重なると、離婚という結末になることが少なくないようです。そうならないためにも、妻の「嫌だ、やめてほしい」を真摯に受け止めてもらうためには、どうしたら良いのでしょうか。
離婚の相談をお受けしていると離婚をしたい、とおっしゃる方にも「相手に不満を伝えていない」ということはよく見受けられます。
日本の良い文化として思いやり、察する、遠慮、控えめという性質があるためか、婚姻関係がこじれてしまうことの多くの理由はこの、お互い、あまり(というか、ほとんど)自分の思いや気持ちや考えをきちんと整理したうえで言語化して相手に対して発していないということがとても多く見受けられます。
よく言われることではありますが、まずはアイメッセージ(自分を主語にした言葉)で「私は、あなたの〇〇という言動によって、△△と感じて、とても悲しい。あなたに愛されていないと思ってしまう。大切にされていないと思ってしまう。あなたが私を傷つけていると感じて、とてもつらい。だから、やめてほしい」とここまで言うと、相手はとてもわかりやすいと思います。
「そこまで言わないとわからないのか」と思われるかもしれませんが、相手の性格や性質により、伝わりづらいということは少なくありません。
そうでなくても、言葉にして伝え合わないと人間というものは、わかり合うことが難しい生き物ではないかと思いますので、ぜひ、トライしてみていただきたいと思います。
その結果として、それでも夫側が妻の訴えにも耳を貸さず、まったく改善がみられないようなケースでは、夫に「改善してくれなければ、離婚を考えている」ということも伝えて良いのではないでしょうか。
ここまで言われないとわからない方もいるものです。それでも、なお改善せずに、妻がいやなことを続ける場合には、それでも我慢し続けるのか、離婚するのかご自身で決めていただくのがよいと思います。
【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人C-ens法律事務所
事務所URL:https://c-ens.jp/
配信: 弁護士ドットコム