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「垂直避難」は地震後の津波、大雨による浸水などの災害から身を守る方法のひとつです。垂直避難の方法と、注意点などを紹介します。
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垂直避難とは?
垂直避難とは、自宅や、近隣の建物の2階以上へ避難することです。以前は水害の危険があるときには原則として、避難所への避難が推奨されていましたが、現在は鉄筋コンクリート製の高層建築が増えたこともあり、状況によっては自宅の2階や、マンションなどの建物の2階以上に避難して救助を待つ「垂直避難」も避難の選択肢となっています。
垂直避難は、津波や洪水で浸水の危険が迫っているけれども、遠くに逃げることが難しいという切迫した状況でも、選択できる可能性があります。
逃げ遅れてしまったとき
すでに浸水がはじまっている場合、歩いて避難できる水の深さは大人のひざ下(約30cm)程度までといわれています。それより浅くても、水に流れや勢いがある場合には転倒のおそれがあり、危険です。また浸水時には蓋が外れたマンホールや、水のあふれた側溝があることに気がつきにくく、落ちて流される危険もあります。
車で避難する場合も、水深が10㎝を超えるとブレーキの効きが悪くなり、30cmを超えるとエンジンが停止する恐れがあります。
逃げ遅れてしまったときは、自宅や、近くにある建物の2階以上へ逃げることが、身を守るための手段となります。
逃げるのが間に合わないとき
津波は海の水深が深いほど早く伝わる性質があり、仮に水深約4000mの南海トラフ付近を震源とする地震で津波が発生した場合には、津波の速度はジェット機レベルの時速700㎞に達します。津波の速度は水深の浅い沿岸に近づくにつれて遅くなりますが、水深1mの浅瀬に到達しても時速34㎞を保ちます。
避難に時間がかかる人
介護を必要としている高齢者、障がいのある人、就学前の子ども、日本語が得意ではない外国人などは、移動が困難であったり、避難指示に気がつくのが遅れたりして、避難に時間がかかることが想定されます。
様々な事情があって避難が難しい人でも、移動距離の少ない自宅の2階や、近くのビルまでであれば、逃げられるかもしれません。垂直避難は、小学校や高齢者施設の避難訓練などでも導入されはじめています。
水平避難との違い
自宅などの2階以上に避難することを垂直避難というのに対し、自宅など今いる場所を出て、開設された指定避難場所や、安全が確保される親戚の家、ホテルなどへ避難することを「水平避難」または「立退き避難」といいます。
垂直避難は、水平避難にくらべて避難のための移動距離が短くてすむのが利点です。ただし、浸水した土地の上に留まることになるというリスクもあります。
配信: 防災ニッポン