朝ドラで存在感を放つ50歳も実は“二世俳優”、父は『ちゅらさん』で頑固ジジイ役を好演

朝ドラで存在感を放つ50歳も実は“二世俳優”、父は『ちゅらさん』で頑固ジジイ役を好演

 二世俳優は二世俳優と言われる。単純な話かもしれないが、かつて映画の黄金期、スター俳優たちが撮影所で活躍していた時代には、二世俳優もまた特別輝いていたように思う。


 橋本環奈主演の『おむすび』(NHK総合)に出演する北村有起哉を見て、不意にそうした時代性について考えた。文学座の座員として舞台から映画まで重厚なイメージがある名優・北村和夫を父にもつ彼は、立派な二世俳優であり、令和の芸能世界でも豊かな存在感におさまっているかに見える。

 北村有起哉は、かつての時代の余韻を生きる二世俳優なのだ。イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、父子それぞれのNHK朝ドラ作品を見くらべて解説する。

二世俳優は名優ぞろい


 芸能界の二世俳優というと、何かしら揶揄の対象になる。出自なんてどうでもいいと言ってみたところで、そうとも言いきれない。たとえば、田村正和。チャンバラ映画の大スターだった坂東妻三郎の三男である。

 坂東と並んで二大スターの座にあった市川右太衛門(『大江戸五人男』ラスト場面の戦いは坂東との名共演!)の次男が、北大路欣也。みんな立派な二世俳優である。でも田村正和や北大路欣也のことをいたずらに揶揄する声はあるだろうか?

 誰もが名優だとちゃーんと認識している。中井貴一だって佐田啓二の息子。やっぱり名優ぞろい。でもそれは昭和の名優たちが活躍した映画黄金期の時代に裏打ちされてこその話であり、令和の現行芸能の世界にいる二世俳優は確かに肌寒いか。

 そこでもうひとり北村有起哉を追加しておきたい。北村の父は、これまた名優中の名優である北村和夫だ。

北村有起哉ファンのツボをじんじん刺激


 北村有起哉は大のお気に入り俳優である。最旬の話題としては、橋本環奈主演の朝ドラ『おむすび』で、主人公・米田結(橋本環奈)の父親である米田聖人を演じている。これがもうとにかく北村有起哉を見ることの楽しみであふれ返っている。

 たとえば、第1週第1回冒頭、ドラマ全体の第一声は北村のものだし、画面上に登場してはあの魅力的な仏頂面を印象付ける。それから第2週第7回で、高校のクラスメイトで福岡のギャル連合ハギャレンのメンバーである柚木理沙(田村芽実)が結を自宅まで迎えにくる場面。

 結と理沙が自転車を押して出掛けて行くとき、農具をもった聖人が娘の友達がどんな人物なのかと点検するかのように見送る。「ふぅーん」と声をこもして、右から左へ二度見する。この北村の顔と動作を捉えるバストショットがいい。北村有起哉ファンのツボをじんじん刺激する。

 第3週第12回では、深酒をする聖人が回想する高校3年生の姿をまさかの北村本人が演じる。ロン毛で若作りした荒技的サービス映像だった。

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