3、事業用の資金を国などから借りる方法
資金繰りがうまくいっていない企業は、銀行からお金を借りることが難しいでしょう。
しかし、政府系の金融機関である日本政策金融公庫を利用すれば、ほとんどの中小企業で融資を利用することができます。
(1)一般貸付
一般貸付は、ほとんどの業種の中小企業で、事業に必要な設備資金や、長期運転資金などに幅広く利用することができます。
融資限度額や、返済期限は以下通りです。
種類
融資限度額
返済期限
運転資金
4800万円
5年以内(特に必要な場合は7年以内、その内据置期間1年以内)
設備資金
4800万円
10年以内(据置期間2年以内)
特定設備資金
7200万円
20年以内(据置期間2年以内)
利率は資金の使い道、返済期間、担保の有無で異なります。
(2)事業の資金繰りが苦しくなったときにも国からお金を借りられる
中小企業や個人事業主にとって事業のための資金繰りは、死活問題となる場合が多いでしょう。
特に規模の小さい事業者は、自社の努力とは無関係の事象が原因で資金繰りに苦労する場合も少なくありません。
日本政策金融公庫では、中小企業が事業に行き詰まりそうな状況に陥った場合の緊急的な融資(いわゆるセーフティーネット貸付)も行っています。
セーフティーネット貸付には、貸付が必要となった理由により次の3つのタイプがあります。
社会的な経済環境の変化によって一時的に業績不振に陥ったが、中長期的には回復の見込みのある事業者を対象にした「経営環境変化対応資金」
メインバンクの都合などで融資を受けられなくなったが、資金繰りさえ改善すれば経営を安定させられる見込みのある事業者を対象とした「金融環境変化対応資金」
取引先の倒産などが原因で経営が苦しくなった事業者を対象とした「取引企業倒産対応資金」
それぞれの制度の貸付額などの条件は、借主が個人事業主(国民生活事業としての貸付)なのか、中小企業(中小企業事業としての貸付)なのかによっても異なります。
詳細については、下記リンク先(日本政策金融公庫ウェブサイト)をご確認ください。
【参考】融資制度一覧から探す(日本政策金融公庫ウェブサイト)
4、すぐに生活費を国から借りたい場合の窓口
緊急小口資金は、低所得の人が当面の生活に必要な資金にも困っている場合に、その費用を借り入れることのできる緊急的な貸付制度です(大規模災害に被災した場合には「特例」として所得に関係なく貸付を受けることができます)。
申込窓口は、それぞれの地域の社会福祉協議会となります。
【参考】緊急小口資金のご案内(東京都社会福祉協議会リーフレット(PDFファイル))
(1)どんな場合に借りられるのか?
緊急小口資金は、「当座の生活費」にも困っている場合に受けられる貸付なので、下記のような事情がある場合に限って貸付を受けることができます。
医療費、介護費などの支払いにより臨時の生活費が必要な場合
給与の盗難、火災等の被害に遭い生活費が必要な場合
年金保険、公的給付や、初回給与の支給開始までに必要な生活費
会社からの解雇、休業による収入が減った場合
事故など損害を受け、支出が増えた場合
国民健康保険料、税金、年金保険料、公共料金の滞納分を支払ったことで支出が増えた場合
社会福祉施設等から退出し、賃貸住宅の入居時に必要な敷金・礼金の支払いによる支出が増えた場合
なお、次の条件に該当する場合には、貸付を受けることができないことにも注意する必要があります。
生活保護世帯
収入がないか又は少ないために「恒常的」に生活が苦しい世帯
多額な負債がある方及び返済が滞っている方がいる世帯
債務整理の予定がある方及び債務整理中の方がいる世帯
生活状況が確認できない世帯
いわゆる暴力団員などが属する世帯の人
(2)いくらまで借りられるのか?
緊急小口融資の限度額は10万円以内(無利子)です。
しかし、世帯員の中に死亡者、要介護者、重傷者、妊産婦、学齢児童がいる世帯や、世帯員が4人以上、など特別な場合とされるときには、限度額は20万円以内となっています。
なお、貸付に際しては審査があるため、申込みから融資実施までは5日(営業日)程度の日数がかかります。
(3)借りたお金の返済方法
原則として2ヶ月の据置期間後、12ヶ月以内に、口座引き落としによる月賦返済となっています(震災被害者に対する特例貸付の場合には、据え置き期間・返済期間はさらに延長されます)。
たとえば、1月に貸付を受けた場合には2月・3月が据え置き期間となり、3月からの返済開始になるということです。
この間も、社会福祉協議会などから生活立て直しのためのさまざまなサポートを受けることができます。
配信: LEGAL MALL