大阪地裁は2024年9月、準強制わいせつ罪で起訴された30代男性に対して懲役2年6月・執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を下した。
被告人は、昨今、女性にも人気が高いコンセプトカフェ(コンカフェ)の名前を用いて女性の関心を引き、わいせつ行為を行った。その犯行態様や被告人の生活習慣に、検察官から「嘘で固めた人生で楽しいんですか」と一喝される場面もあった。(裁判ライター・普通)
●オーナーと偽りコンカフェ勧誘「早く脱いで」
2度の離婚経験がある被告人は、事件当時も交際相手宅を転々とするなど住居不定の状態だった。
起訴状によると、被告人はアルバイトリーダーとして勤務していた飲食店で、アルバイトとして勤務する2名の女性に対してそれぞれ、自身が「コンカフェのオーナーである」と虚偽の情報を伝えた。
コンカフェへの勤務を希望した両名に対して、制服を作るために採寸が必要として上半身を裸になるよう指示し、「こっちも仕事やねん。早く脱いで」などと促し、上半身を触ったという。
検察官が取調べ請求した被告人と被害者両名とのLINE履歴によると、一定期間被害者に対して身分を偽り、食事や旅行に連れて行っていたことが明らかとなった。「ずっと騙されていた」、「嘘ばかり言って本当にムカつく」などの被害感情も明らかにされた。
●わいせつ行為を決意「採寸時」→「もっと前から」 異例の供述変遷
被告人質問では、捜査機関により作成された供述調書と異なる回答をした。
そのような場合、通常は調書記載の内容より過小な事実を供述することが多いが、むしろ犯行意欲が高いと思わせる内容に変遷したのだ。弁護人は、自己都合で嘘を続けた被告人なりの反省の態度と主張した。
調書では、胸を触ろうとしたきっかけは、採寸のために服を脱がせたとき初めて思ったと供述していたが、実際は以前より従業員内で被害女性のスタイルが話題になっており、そこで思い立ったという。
また当時は、幻聴が聞こえるなどして通院が必要なほど、アルコールに依存もしていたという。事件当時も酒を飲み、気が大きくなった結果の犯行であると供述した。LINE履歴では、何度も被害女性に「採寸したい」と送っており、これもアルコールの影響だと主張した。
弁護人「普段から女性と飲む機会は多かったようだが、今回はなぜ犯行に繋がった」
被告人「心の弱さです」
弁護人「アルコール依存の人がみんな犯罪行為をするわけでない。心の弱さってなんですか」
被告人「相手を考えず、自分本位の考えをしてしまいました」
弁護人「嘘の上塗りをするのはなぜ」
その問いに、被告人は涙で答えを出せなかった。それが事件による後悔のものであるかは最後までわからなかった。
弁護側の最終弁論では、被告人がついた嘘は若年でもわかるものであり、被害者にまったくの落ち度がないわけではないと主張した。
配信: 弁護士ドットコム