3、離婚の弁護士費用|ケーススタディ
離婚の弁護士費用がどのような場合にいくらかかるのかを具体的にイメージしていただくために、よくある事例を挙げて実際に弁護士費用を計算してみましょう。
一例として前記「2」でご紹介した料金体系に基づき計算してみますので、ひとつの目安として参考になさってください。
(1)離婚の話し合いを拒む夫との離婚成立を目指す場合
依頼者は夫との離婚を望むものの、夫が離婚に反対して話し合いが進まないケースでかかる弁護士費用をみていきましょう。
①交渉のみ
調停や訴訟を行うよりは、協議離婚した方が時間・労力・費用の点で望ましいので、通常はまず相手方との交渉を弁護士に依頼することになります。
弁護士が交渉することによって協議離婚が成立した場合と成立しなかった場合の弁護士費用は、それぞれ以下のようになります。
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚が成立しなかった場合の金額
着手金(交渉のみ)
16万5,000円
16万5,000円
事務手数料
1万1,000円
1万1,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
0円
合計
50万6,000円
39万6,000円
②交渉+調停
弁護士が介入しても交渉がまとまらなかった場合は、引き続き調停を依頼することが一般的です。
この場合の弁護士費用は、以下のようになります。
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚が成立しなかった場合の金額
着手金(交渉+調停)
33万円
33万円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
0円
合計
68万2,000円
57万2,000円
③調停のみ
当事者間での交渉が完全に決裂していて、もはや交渉での解決がほぼ見込めない場合には、調停から弁護士に依頼することもあります。
この場合の弁護士費用は、以下のようになります。
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚が成立しなかった場合の金額
着手金(調停のみ)
27万5,000円
27万5,000円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
0円
合計
62万7,000円
51万7,000円
④調停+訴訟
調停でも解決できなかった場合は、引き続き訴訟を依頼することが一般的です。
この場合の弁護士費用は、以下のようになります。
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚が成立しなかった場合の金額
着手金(調停+訴訟)
46万7,500円
46万7,500円
事務手数料
4万9,500円
4万9,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
0円
合計
95万7,000円
84万7,000円
⑤訴訟のみ
中には、調停までは自分で行い、訴訟のみを依頼する方もいらっしゃいます。
この場合の弁護士費用は、以下のようになります。
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚が成立しなかった場合の金額
着手金(訴訟のみ)
33万円
33万円
事務手数料
3万8,500円
3万8,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
0円
合計
80万8,500円
69万8,500円
(2)離婚の成立とともに、不倫慰謝料の獲得も同時に目指すケース
次に、離婚の成立に加えて、不倫慰謝料の請求も弁護士に依頼した場合についてみていきましょう。
離婚が成立して慰謝料200万円を獲得したケースと、離婚は成立したものの慰謝料を獲得できなかったケースとについて、それぞれ(1)と同じように弁護士費用の金額を計算していきます。
①交渉のみ
弁護士費用の種類
離婚成立+慰謝料200万円
離婚成立、慰謝料獲得できず
着手金(交渉のみ)
16万5,000円
16万5,000円
事務手数料
1万1,000円
1万1,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(慰謝料)
22万円
0円
合計
72万6,000円
50万6,000円
②交渉+調停
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚成立、慰謝料獲得できず
着手金(交渉+調停)
33万円
33万円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(慰謝料)
22万円
0円
合計
90万2,000円
68万2,000円
③調停のみ
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚成立、慰謝料獲得できず
着手金(調停のみ)
27万5,000円
27万5,000円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(慰謝料)
22万円
0円
合計
82万7,000円
62万7,000円
④調停+訴訟
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚成立、慰謝料獲得できず
着手金(調停+訴訟)
52万2,500円
52万2,500円
事務手数料
4万9,500円
4万9,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(慰謝料)
22万円
0円
合計
134万2,000円
101万2,000円
⑤訴訟のみ
弁護士費用の種類
離婚が成立した場合の金額
離婚成立、慰謝料獲得できず
着手金(訴訟のみ)
38万5,000円
38万5,000円
事務手数料
3万8,500円
3万8,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(慰謝料)
22万円
0円
合計
119万3,500円
86万3,500円
(3)離婚の成立とともに、親権の獲得も同時に目指すケース
離婚の成立に加えて、親権の獲得も弁護士に依頼した場合についても、離婚が成立して親権も獲得したケースと、離婚は成立したものの親権を獲得できなかったケースとに分けて、同じように弁護士費用をみていきましょう。
①交渉のみ
弁護士費用の種類
離婚成立+親権獲得
離婚成立、親権獲得できず
着手金(交渉のみ)
16万5,000円
16万5,000円
事務手数料
1万1,000円
1万1,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(親権)
11万円
0円
合計
61万6,000円
50万6,000円
②交渉+調停
弁護士費用の種類
離婚成立+親権獲得
離婚成立、親権獲得できず
着手金(交渉+調停)
33万円
33万円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(親権)
11万円
0円
合計
79万2,000円
68万2,000円
③調停のみ
弁護士費用の種類
離婚成立+親権獲得
離婚成立、親権獲得できず
着手金(調停のみ)
27万5,000円
27万5,000円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(親権)
11万円
0円
合計
73万7,000円
62万7,000円
④調停+訴訟
弁護士費用の種類
離婚成立+親権獲得
離婚成立、親権獲得できず
着手金(調停+訴訟)
46万7,500円
46万7,500円
事務手数料
4万9,500円
4万9,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(親権)
11万円
0円
合計
106万7,000円
95万7,000円
⑤訴訟のみ
弁護士費用の種類
離婚成立+親権獲得
離婚成立、親権獲得できず
着手金(訴訟のみ)
33万円
33万円
事務手数料
3万8,500円
3万8,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚)
11万円
11万円
成果報酬(親権)
11万円
0円
合計
91万8,500円
80万8,500円
(4)離婚は同意しているものの、財産分与についてのみ合意を目指すケース
当事者間で離婚については同意が得られており、財産分与の請求のみを弁護士に依頼した場合についても、財産分与として500万円を獲得したケースと、財産分与を獲得できなかったケースとに分けて、同じように弁護士費用をみていきましょう。
①交渉のみ
弁護士費用の種類
財産分与500万円
財産分与獲得できず
着手金(交渉のみ)
16万5,000円
16万5,000円
事務手数料
1万1,000円
1万1,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(財産分与)
55万円
0円
合計
94万6,000円
39万6,000円
②交渉+調停
弁護士費用の種類
財産分与500万円
財産分与獲得できず
着手金(交渉+調停)
33万円
33万円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(財産分与)
55万円
0円
合計
112万2,000円
57万2,000円
③調停のみ
弁護士費用の種類
財産分与500万円
財産分与獲得できず
着手金(調停のみ)
27万5,000円
27万5,000円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(財産分与)
55万円
0円
合計
106万7,000円
51万7,000円
④調停+訴訟
弁護士費用の種類
財産分与500万円
財産分与獲得できず
着手金(調停+訴訟)
52万2,500円
52万2,500円
事務手数料
4万9,500円
4万9,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(財産分与)
55万円
0円
合計
145万2,000円
90万2,000円
⑤訴訟のみ
弁護士費用の種類
財産分与500万円
財産分与獲得できず
着手金(訴訟のみ)
38万5,000円
38万5,000円
事務手数料
3万8,500円
3万8,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(財産分与)
55万円
0円
合計
130万3,500円
75万3,500円
(5)離婚したがる夫との離婚の阻止を目指すケース
最後は、夫から離婚を突きつけられ、離婚の阻止を弁護士に依頼したケースについて、離婚を阻止できた場合とできなかった場合とに分けて、同じように弁護士費用を見ていきましょう。
①交渉のみ
弁護士費用の種類
離婚を阻止できた場合
離婚を阻止できなかった場合
着手金(交渉のみ)
16万5,000円
16万5,000円
事務手数料
1万1,000円
1万1,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚阻止)
11万円
0円
合計
50万6,000円
39万6,000円
②交渉+調停
弁護士費用の種類
離婚を阻止できた場合
離婚を阻止できなかった場合
着手金(交渉+調停)
33万円
33万円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚阻止)
11万円
0円
合計
68万2,000円
57万2,000円
③調停のみ
弁護士費用の種類
離婚を阻止できた場合
離婚を阻止できなかった場合
着手金(調停のみ)
27万5,000円
27万5,000円
事務手数料
2万2,000円
2万2,000円
基礎報酬
22万円
22万円
成果報酬(離婚阻止)
11万円
0円
合計
62万7,000円
51万7,000円
④調停+訴訟
弁護士費用の種類
離婚を阻止できた場合
離婚を阻止できなかった場合
着手金(調停+訴訟)
46万7,500円
46万7,500円
事務手数料
4万9,500円
4万9,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚阻止)
11万円
0円
合計
95万7,000円
84万7,000円
⑤訴訟のみ
弁護士費用の種類
離婚を阻止できた場合
離婚を阻止できなかった場合
着手金(訴訟のみ)
33万円
33万円
事務手数料
3万8,500円
3万8,500円
基礎報酬
33万円
33万円
成果報酬(離婚阻止)
11万円
0円
合計
80万8,500円
69万8,500円
4、所持金0では離婚の弁護士費用は払えない?
上述の通り、成功報酬は獲得金額(あれば)から支払うことが可能としても、まず弁護士に依頼する時点で原則として着手金を支払う必要があります。
ただ、所持金0では弁護士に依頼できないというわけではありません。
着手金の分割払いに対応している事務所も少なくありませんので、相談時に着手金の支払い方法についても相談してみるとよいでしょう。
また、最近では弁護士費用のクレジットカード払いに対応している事務所も増えてきています。
クレジットカードの分割払いで着手金を支払うことも考えられるでしょう。
なお、着手金の後払いに応じてくれる事務所もありますが、成功報酬が割高となっていることが多いので注意が必要です。
依頼時には、トータルで必要となる弁護士費用について見積もりをとり、検討することが大切です。
配信: LEGAL MALL