各家庭で何を優先するかを考えてみよう
――運営する母体によって違いがあるのですね。これらの違いを知った上で、曽山さんは家庭ごとに何を優先すべきか、整理することを勧めています。
「それぞれの学童クラブごとに下記の違いがありますので、『我が家では何を優先するか』を検討しましょう。
1.学童クラブの利用料金
1カ月あたりの学童クラブ保育料はもちろんですが、入会金、設備費、教材費、オプションプログラム費、長期休暇中の食事費など、別途に必要な費用が発生する場合がありますので、事前に調べておきましょう。
2.保育時間と行き帰りの子どもの負担
勤務時間に合わせて預かり開始時間と終了時間を確認するのはもちろんですが、学校や自宅からの距離と移動時間、長期休み期間中にお友だちと一緒に行き帰りができるかどうかなども検討しましょう。
入学前の3月には、親子で一緒に経路を確認すると、子どもの安心感にもつながります。
また、自宅玄関の鍵を子どもが一人で開ける練習も大切です(できない子が大半ですので安心してください笑)。
3.父母会や送迎の必要性、お弁当の有無など保護者の関わり
保護者運営の学童クラブでは学童指導員の先生方の採用やシフト、給与支払いなど会計も父母会が担っていることがあります。その分、子どもたちにとって良い環境を親が責任を持って提供することができるというメリットもあります。
学校から学童クラブまでの移動時や学童クラブからの帰宅時に危険な場所がありそうであれば送迎が必要な場合も。また、お子さまの成長度合いや学童クラブからの帰宅時間によっては一人ではまだまだ危険なことも多く見受けられます。
迷子になったり遊びたくなったりで、途中の商店街をさまよう小学生のお話をたくさん見聞きしてきました。
学童クラブによっては配食(お弁当の配達)や給食、子どもたちのお弁当作りイベントなどを用意しているところもあります。
4.宿題や学習プログラムの有無
子どもたちが学校の宿題をする時間を確保してくれる学童クラブもあれば、宿題は子どもたちの自主性に任せて目いっぱい遊ばせることを良しとする学童クラブもあります。
忙しい保護者にとっては、自宅で宿題をする時間を捻出できない場合もあります(ひらがなの書きとりで1時間かかることもあります。さらにそれをマル付けして一緒に見返すのは、それなりの時間がかかります)。
土日の時間帯は体を休められるように、習い事を学童クラブの学習プログラムですませてしまうことも選択肢のひとつです。
私たち保護者は、『小学生なら何でも一人でできる子になる』という幻想にとらわれがちですが、小学校に入学したての子どもたちは保育園の年長さんとほぼ変わりません。
さらに、入学した直後は、子どもたちは新しい環境での集団生活に大きく疲弊します。
保護者はつい忙しいタイムスケジュールを優先に考えがちですが、子どもたちにとって過ごしやすい環境はどんな場所なのか、我が子にあった生活スタイルや学習習慣の作り方、親子のコミュニケーションのあり方なども考えられるといいでしょう。
毎年12月頃に入会申請の時期になりますので、その前に見学に行ってみると親子ともにイメージがつかみやすいですね」(曽山恵理子さん)
「親にとっていい学童と、子どもにとっていい学童は違う」という声も多くあがりました。親子で検討してみてくださいね。
(取材・文/メディアビュー 橋本真理子)
曽山恵理子さん
Profile
保育士見守り付コワーキングスペース「こどもコワーキングbabyCo」代表。これまでキャリアカウンセラーとして2,000件以上のカウンセリング実績を持ち、女性の就業支援講座や就職セミナーの講師、地域の交流イベント企画、保育園入園相談にも携わる。
※文中のコメントは「ウィメンズパーク」(2022年1月末まで)の投稿を再編集したものです。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
※記事の内容は2021年8月の情報で、現在と異なる場合があります。
配信: たまひよONLINE
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