3、円満調停で期待できる効果
円満調停をすることで期待できる主な効果は、以下のとおりです。
(1)冷静に話し合える
夫婦関係が危機に瀕したときは、お互いに感情的に対立していて、冷静な話し合いが難しくなっていることが大多数です。
修復できる可能性が残っていても、感情が邪魔をして話し合いができなければ、離婚に至ってしまう可能性が高くなります。
円満調停で第三者を間に挟むことで、冷静な話し合いが可能となります。夫婦関係の修復に向けて、お互いが建設的な意見を出し合うことも期待できます。
(2)公平に話し合いを進めてもらえる
親族や友人・知人などを交えて話し合いをする人もいますが、これらの第三者を交えても公平な話し合いは難しいことが少なくありません。
これらの人は第三者とはいっても、どちらか一方に肩入れしたり、相手を非難してしまうようなケースが多いからです。
円満調停では、調停委員が公正・中立の立場で双方から言い分を聞き出してくれます。それによって、公平に話し合いを進めることが可能となります。
(3)話し合いのきっかけとなることがある
夫婦関係が危機に瀕した後では、話し合いのきっかけさえ掴めないこともあります。
別居している相手に
電話
メール
手紙
などで連絡をしても返信がなかったり、同居している場合でも無視されて話し合えないことがあるでしょう。
このような場合でも、円満調停を申し立てて裁判所から呼出状を送付してもらえば、仕方なくではあっても相手が話し合いの場に出頭してくれる可能性があります。
(4)相手の本音を聞けることがある
夫婦関係を修復するためには、相手がどのような不満や要望を持っているのかを知ることが不可欠です。しかし、夫婦だけで話し合う場合には、感情が邪魔をして相手の本音を聞けないことが多いものです。
円満調停では、夫婦が顔を合わせることはなく、調停委員が双方から別々に言い分を聞き出してくれます。相手も、公正・中立な調停委員になら本音を話す可能性があります。
(5)解決策を提示してもらえる
調停委員は、単に当事者の話し合いを仲介するだけの伝言係ではありません。双方から言い分を聞き取った上で、妥当な解決策を提示してくれます。
一定の解決策が示されると、その内容に応じられるかどうかだけでなく、
「どうすれば応じられるか」
「内容をどのように修正すれば応じられるか」
といった建設的な話し合いも可能になってきます。
すぐに合意できなくても、夫婦がただ感情をぶつけ合うだけの争いから脱却することが期待できるでしょう。
4、円満調停をしたほうがいいケース
円満調停をしないほうがいいケースがあることは否定できませんが、一方では円満調停をしたほうがいいケースもあります。
以下のようなケースでは、円満調停を申し立てることで事態を打開できる可能性があるといえます。
(1)相手が直接の話し合いを拒否している
相手が話し合いを拒否している場合には、まずもって話し合いの機会を確保しなければ事態を打開することはできません。直接の連絡を無視する相手でも、裁判所からの呼び出しには応じて調停期日に出頭する可能性があります。
そこから、調停委員のサポートを得て話し合いが進んでいくことが期待できます。
(2)相手の本音が分からない
相手の本音が分からない場合も、円満調停が有効なことがあります。親族や友人・知人などでなく公正・中立な調停委員を間に入れることで、相手の本音を聞き出してくれる可能性が高まります。
実際のところ、離婚調停でもそうですが、調停をしてみて初めて、「相手はこんなことを考えていたのか」と分かるケースが数多くあります。
(3)本気であることを相手に伝えたい
円満調停には、こちらが本気で夫婦関係の修復を考えていることが相手に伝わるというメリットもあります。
話し合いを強制することはできないまでも、こちらが裁判所に申し立ててまで話し合いを求めた以上、相手も裁判所に出頭すれば調停委員には真剣に話すことが多いものです。いわば、本気の話し合いをすることが期待できるでしょう。
配信: LEGAL MALL