5、免許「取消し」処分を受けた方のための試験の一部免除制度について
前記3では運転免許の「取消し」処分を受ける可能性があることもご説明しました。
しかし、免許「取消し」は「効力の停止」に比べ不利益が大きく、一から免許取得を始めなければならないとなると相当な負担です。
また、一度、運転免許自体は受けているのですから、始めて運転免許を受けるときよりハードルを低くしても支障は少ないと考えられます。
そこで設けられた制度が「免許再取得に係る試験の一部の免除制度」です。
同制度によると「学科試験」、「技能試験」は免除され、「適性試験」のみ受験し、合格すれば運転免許を「取得」できます。
ただし、この制度を利用できるのは、運転免許の「取消し」処分を受けた日から起算して「3年」です。
また、取消し処分を受ける直近の日に提出した質問票に虚偽事項を記載していた場合はこの制度を利用することはできませんから注意が必要です。
6、てんかん症状を自覚しつつ交通事故を起こしたら?
これまでは、車の運転免許に関するご説明をしてまいりましたが、この項では、てんかん症状を自覚しつつ車を運転し、その結果、人に怪我を負わせたり、人を死亡させた場合の責任についてご紹介いたします。
(1)刑事上の責任を負う
準危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。
この罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律3条2項に規定されています。
人を負傷させた場合は「12年以下の懲役」、死亡させた場合は「15年以下の懲役」に処せられる可能性があります。
(2)民事上の責任を負う
怪我をさせた相手方、死亡させた場合のご遺族に対する損害賠償責任です。
通常、任意保険未加入の場合は、強制保険で賄えない部分をご自身で負担しなければなりません。
また、強制保険未加入の場合は、それ自体で罪(刑事責任)に問われるほか、生じた損害について全てご自身で負担しなければなりません。
(3)行政上の責任を負う
準危険運転致死傷罪に当たる行為をした場合は相手型の怪我の程度にかかわらず免許「取消し」処分を受けます。
(4)さらに・・・
事故を起こすと、あなた自身や同乗者など、あなたにとって大切な命さえも失われるおそれがあります。
そして、人の命は取り戻すことができません。
だからこそ、とりかえしのつかない被害を避けるために、自動車の運転がもつ危険性を常に自覚し続けることは重要です。
配信: LEGAL MALL