5、ダブル不倫での慰謝料請求を自分で行う際の全手順
では、ダブル不倫で慰謝料請求を行うにはどうすればよいのでしょうか。
以下、自分で請求する方法を解説しますが、上記の通り複雑さが隠せませんので実際には弁護士に依頼するのが一般的です。
(1)証拠を確保する
不倫慰謝料の請求を考え始めたら、まずは証拠を確保しましょう。
過去の不貞行為の証拠を集めるのは難しいので、しばらくの間は不倫の当事者を泳がせて、その間に証拠を確保することになるでしょう。
もっとも、不倫は内密に行われるのが通常ですので、決定的な証拠を掴むのは容易ではありません。
自分で証拠を掴むのが難しいと思ったら、探偵に依頼するのもひとつの方法です。
探偵事務所は数多くありますが、調査能力の面でも費用の面でも玉石混淆ですので、こちらの記事を参考にして信頼できる探偵に依頼するようにしましょう。
なお、決定的な証拠を掴めなくても、間接的な証拠を数多く集めれば慰謝料請求が可能となる場合もあります。
一例として、以下のような証拠を丹念に集めれば、肉体関係の存在を推認できる証拠を確保できる可能性があります。
メールやSNSでのやりとり
携帯電話・スマホの通話記録
携帯電話・スマホに保存された画像や動画
ホテルの領収証
クレジットカードの利用明細
ドライブレコーダーの記録
GPSの記録
他にも、こちらの記事で浮気・不倫の証拠の集め方を詳しく解説していますので、ぜひ併せてご参照ください。
(2)請求額を決める
証拠がそろったら、次に相手に請求する慰謝料額を決めましょう。
請求するだけならいくら請求しようが自由ですので、請求額は自分で決めることができます。
ポイントは、相場よりも少し高めの金額を請求することです。
なぜなら、請求した後は話し合いで交渉することになりますので、最初に高めの金額を請求しておき、そこから適正な金額に減額すれば話し合いがまとまりやすくなるからです。
例えば、ご自身のケースで慰謝料200万円が適正だとすれば、最初は300万円を請求するということです。
このとき、3,000万円や5,000万円などと法外な金額を請求すると、相手方の心情を害して話し合いができなくなり、慰謝料獲得までに遠回りを要する可能性が高いことにご注意ください。
(3)内容証明郵便を送付する
次は、いよいよ実際に慰謝料を請求します。請求方法としては、不倫慰謝料請求書を内容証明郵便にして相手に送付するのが一般的です。
相手方がすぐに慰謝料を支払わないとしても、内容証明郵便の形を取ることで心理的な圧力をかけることができるので、その後の話し合いを有利に進める効果が期待できます。
また、内容証明郵便は誰が・いつ・誰に対して・どのような内容の文書を送ったのかを郵便局が証明してくれますので、後に裁判を起こす場合に証拠の1つとして使うこともできます。
(4)相手方と話し合う
相手方が請求どおりに慰謝料を払わないものの、内容証明郵便に応じて連絡をしてきた場合は、話し合いで交渉をすることになります。
交渉する際は、冷静に話し合うことがポイントです。感情的になっても慰謝料を増額できるものではありませんし、相手方も感情的になると話し合いが進まなくなってきます。
冷静に話しつつ、主張すべきことは主張するという姿勢で臨みましょう。
相手方が事実を否定する場合は証拠を示し、減額を求めてきた場合は当初の請求額から減額して適正な金額で合意するのが理想的です。
ただ、相手が責任は認めるものの支払能力が十分でないというケースも少なくありません。
その場合には、分割払いを認めることによって合意することも検討するとよいでしょう。
(5)話し合いができなければ裁判を起こす
話し合いで合意できない場合や、相手方が話し合いに応じない場合には、慰謝料請求の裁判を起こすことになります。
裁判では、訴えた側(原告)と訴えられた側(被告)がそれぞれ主張と証拠を提出し合います。
裁判所が不倫の事実を証拠で認定した場合は、判決で相手方に対して慰謝料の支払いが命じられます。
なお、裁判の途中でも裁判所からの和解勧試(わかいかんし)によって話し合いが行われることもよくあります。
納得できる和解案で合意できる場合には、和解に応じることで早期解決が可能となります。
ただ、有利な和解案を引き出すためにも、有力な証拠を提出しておくことが大切になります。
6、ダブル不倫での慰謝料請求は弁護士への相談がおすすめ!
ダブル不倫で慰謝料請求をお考えなら、弁護士に相談することをおすすめします。
前項でご説明したように自分で戦うことも可能ではありますが、プロの弁護士に相談・依頼することで以下のメリットが得られます。
(1)慰謝料請求の可否についてアドバイスが受けられる
ダブル不倫の場合は、慰謝料請求ができない場合や、できるとしても得策ではない場合もあります。
専門的な知識なく闇雲に慰謝料請求をすると、かえって損をしてしまうことにもなりかねません。
そこで、まずはプロの弁護士のアドバイスを聞いて、慰謝料請求すべきかどうかを的確に判断した方がよいでしょう。
(2)慰謝料額を適切に算定してもらえる
慰謝料請求が可能と判断したら、次は慰謝料額を算定するステップです。
慰謝料の相場や金額を左右する要素はこの記事でご説明しましたが、実際のケースではさまざまな要素が絡むため、適切に算定するためには、やはり専門的な知識が必要です。
弁護士に詳しい事情を伝えれば、慰謝料額を適切に算定してもらうことが可能です。
(3)証拠集めをサポートしてもらえる
証拠集めの重要性は何度も指摘してきましたが、不倫の有力な証拠を掴むのは難しいことが多いのが実情です。
弁護士に相談すれば、どのような証拠を集めればよいのかや、証拠の集め方についてもアドバイスが受けられます。
依頼すれば、弁護士が法的手段を使って証拠を確保することも可能になります。
また、不倫慰謝料請求に強い弁護士は探偵事務所と提携していることもありますので、紹介してもらうことによって、信頼できる探偵に割引料金で依頼できる可能性もあります。
(4)相手方との交渉を代行してもらえる
弁護士に慰謝料請求を依頼すると、弁護士があなたの代理人となって相手方と交渉します。
あなたは相手方と直接やりとりする必要がなくなりますので、時間的・労力的にはもちろん、精神的にもグッと楽になります。
弁護士が高度な法的知識と豊富な経験に基づく交渉力で対応しますので、自分で交渉する場合よりも有利な結果が期待できます。
(5)裁判でもサポートが受けられる
裁判を起こす場合は、さらに高度な専門知識が必要となりますし、手続きも複雑になります。
しかし、弁護士に依頼すれば裁判手続きもすべて代行してくれます。
あなたが慰謝料を獲得するまで、弁護士が心強い味方として全面的にサポートしてくれるのです。
配信: LEGAL MALL