3、情状酌量を目指すなら、刑事裁判に精通した弁護人をつけるべき?
(1)刑事事件では弁護人は必須
刑事事件では、弁護人は不可欠な存在です。
刑事事件では、手続きのあらゆる場面で人権侵害のおそれが多々あります。
無罪推定がある中でも、身柄は拘束され、拘束中は最低限の自由があるのみで精神的にも肉体的にも多大な負担を強いられます。自由の中で生活をしてきた人々にとって、このような状況はどれだけ辛いことでしょうか。
このような状況下で、あなたの味方として面会に行くことができる者は、面会者と弁護人だけです。中でも、逮捕から72時間は面会ができるのは弁護人だけです。
そして、弁護人は、精神的な支えとなるだけなく、刑事弁護の戦略も考えます。
裁判においては、検察官の主張のうち、どこを、どのように主張して争い、それをどのような証拠により立証するか等の検事弁護の戦略が非常に重要です。
こういった戦略を立て、その戦略の基づいて訴訟追行することは法律に精通している弁護士でなければ困難です。
そのため、刑事事件では、弁護人の存在は必須なのです。
とはいえ、法律上は全ての刑事事件で弁護人をつける必要はなく、弁護人をつけなくても良い「任意的弁護事件」もあります。
法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年(上限側が3年、の意味)を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件など、比較的重い犯罪を「必要的弁護事件」と言いますが、それ以外の事件が「任意的弁護事件」です。
必要的弁護事件は、法律上、弁護人がなければ裁判をすることができません。
任意的弁護事件においてはこのような法律上の定めはありませんが、やはり上記の事情から弁護人をつけるのが一般的です。
(2)弁護士には「専門」がある
といっても、弁護人ならば誰でも同じ結果を得られるわけではありません。
弁護士も、分野によって得意、不得意があります。刑事事件、ことに裁判を控えているのであれば、刑事裁判に関する知識、経験が豊富な弁護人を選任した方が、よりよい結果を得られるでしょう。
なお、刑事事件では国選弁護人という選択肢もあります。
しかし、選任された国選弁護人が必ずしも刑事事件、刑事裁判の知識、経験が豊富かどうかは保障されません。一度、国選弁護人を選任した後でも、少しでも「この弁護士、刑事事件に詳しいのかな?」と不安に感じるのであれば、私選弁護人への切り替えることも可能です。
刑事事件で弁護人をつける際は、刑事事件を専門とした弁護人を自ら選んで依頼することをお勧めいたします。
まとめ
以上のように、情状に酌量すべき点がある場合は酌量減軽を受ける可能性はあります。そこで、まずは被告人にとって有利な情状とは何かを確定し、その情状を裁判で効果的に主張・立証していくことが酌量減軽を受けるためのポイントとなります。
また、裁判でそういった酌量減軽を主張するためには刑事裁判に慣れた弁護士の力が必要不可欠です。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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