夫婦の別居には、様々な形態が存在し、必ずしも離婚を前提としない別居が増加傾向にあります。
夫婦関係が緊張し、家庭への帰宅がストレスとなることもあるでしょう。そのような状況において、一つの選択肢として別居が考えられます。
本記事では、別居の利点を詳細に紹介しつつ、別居に関連する手続きや生活費についても詳細に解説します。
「今すぐ離婚を望んでいないが、個人の時間や空間を求めている」と感じている方々に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
離婚全般については以下の記事をご参照ください。
また、別居を理由とした慰謝料請求についてYouTubeで解説しています
1、夫婦の別居には「離婚に向かうもの」と「ポジティブなもの」がある!
まず押さえておきたいのが、夫婦の別居には大きく分けて
「離婚を前提としたもの」と「そうでないもの」
の2種類があるということです。
夫婦別居というと、離婚するまでのステップのひとつとして、「冷却期間の意味合いも兼ねて…」というのが一般的なイメージですが、そういった離婚に向かうための別居にどちらかというとネガティブな印象があるのに対して、今は「特に離婚を前提としているわけではない」ポジティブな別居を選ぶ夫婦も増えてきています。
「離婚するわけじゃないのに別居?」と不思議に感じる人もいるかもしれませんが、たとえば夫や妻のことを変わらず愛する気持ちはあるけど、四六時中一緒にいると相手のイヤなところが目に付いたり、逆に相手に気を遣いすぎて疲れてしまう…というケースや、家では1人でいたほうがのびのびと過ごせてお互いに都合が良いというようなケースでは、無理に一緒に暮らそうとせず別居という形を選んだほうが、むしろ円満な夫婦関係を保つことができます。
こういったポジティブな別居は「別居婚」とも呼ばれ、結婚していながらまるで独身時代のような気楽さや自由を謳歌できるところが最大のメリット。
別居とはいえ同じマンションの違う部屋にそれぞれが暮らしていたり、その気になればすぐに相手に会うことができる近場に住むパターンが多いのも特徴のひとつです。
2、「離婚に向かう」別居にもさまざまな具体的理由がある
一方、離婚を前提として別居を選ぶ夫婦にも、そこに至るまでの理由には様々なものがあります。
(1)DV・モラハラなどの被害から逃れるため
相手からDV・モラハラなどの身体的・精神的暴力を受けている場合、その被害から逃れる1番手っ取り早い方法は別居することです。
同居を続けると暴力によって自分の身が危険にさらされるだけでなく、子供の成長にも大きな悪影響を与えてしまいます。
離婚が成立するまでには時間がかかってしまうこともあるため、このケースでは特に1日でも早い別居が求められるでしょう。
(2)相手の浮気などの問題から距離を置くため
相手の浮気が発覚して、顔を見るのもツラい…
そんな「今まで通りに生活するなんてとても無理!」な事件が発生した場合にも、別居を選ぶ夫婦は多いです。
一時的に強いショックを受け、離婚するかどうか考えるのを一旦保留したいときにも、ひとまず別居することで気持ちを落ち着けることができます。
(3)顔を合わせると喧嘩ばかりになるため
相手のちょっとしたクセや習慣がいちいち目に付いて、同じ空間にいると喧嘩ばかりになってしまうケースでも、別居は効果的な対処法です。
この場合、相手に対してはもうほとんど愛想が尽きていることも多いですが、離婚を前提に距離を置いてみたことで逆に相手の存在の大きさを再確認し、また夫婦としてやり直すことを選ぶパターンも少なくないでしょう。
(4)他の同居家族とのトラブルを避けるため
夫や妻の両親と同居している場合、義理の両親と反りが合わず、それが原因で夫婦関係にもヒビが入ってしまうことがあります。
それでも相手が両親との同居を解消する気がないとなれば、もう一方は離婚も視野に入れた別居に踏み出すことで自分の気持ちを表現するしかないこともあるのです。
(5)そもそも生活リズムが合わないため
相手と自分の生活リズムが異なる場合、どちらかが相手に合わせない限り生活はすれ違う一方です。
そのすれ違いが次第に2人の溝を広げてしまうこともありますし、生活リズムの違う相手に振り回されるのがイヤで別居を選ぶ夫婦もいます。
配信: LEGAL MALL