書類送検されても起訴されない為に!起訴を回避するノウハウを弁護士が解説

書類送検されても起訴されない為に!起訴を回避するノウハウを弁護士が解説

「書類送検」というフレーズはニュースやドラマなどでよく耳にしますが、その正確な意味を理解している人は少ないかもしれません。書類送検のプロセスやその後の手続きに関する情報も正確にはあまり知られていないようです。

そこでこの記事では、ベリーベスト法律事務所の弁護士が、書類送検の基本知識に加えて、書類送検された場合の適切な対処法について分かりやすく解説します。お役に立てば幸いです。

刑事事件と民事事件の違いについてはこちらの記事を参考にご覧ください

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1、書類送検とは

警察官が犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を書類や証拠などとともに検察官にN送致(報告)しなければなりません。 これを「検察官送致」もしくは「送検」といいます。

この送検を行う際に、警察官が罪を犯したと疑われる被疑者を逮捕して捜査を行った場合には、警察官は逮捕から一定時間以内に被疑者を捜査関係書類とともに検察官に送致する必要がありますが、被疑者を逮捕せずに捜査を行った場合には、被疑者の身柄を確保していないため被疑者の身柄を検察官に送致する必要はなく、捜査関係書類のみを検察官に送致することで足ります。

この捜査関係書類のみを検察官に送致する場合のことを「書類送検」といいます。 このことから、ニュースなどで「書類送検した」と表現している場合には、被疑者が逮捕されていないことが分かります。

2、書類送検と身柄送検の違い

(1)書類送検では身柄事件のような送検までの制限時間がない

上に述べたとおり、送検には2種類のものがあります。

両者の違いは逮捕による身柄拘束を経ているかどうかにあります。

被疑者を逮捕して身柄を確保した上で捜査を行った場合(身柄事件)の送検を身柄送検と呼ぶのに対し、被疑者を逮捕せずに捜査を行った場合(在宅事件)の送検を書類送検と呼ぶわけです。

身柄送検が行われる場合には、警察官には法律上制限時間が課されています。

具体的には、警察官は被疑者を逮捕してから48時間以内に身柄送検を行わなければなりません。

被疑者の身柄を拘束して捜査を行う場合に、いつまでも身柄拘束を続けることができたのでは被疑者の人権侵害になるとともに、長期間の拘束を背景とした自白の強要などの弊害が生ずるおそれがありますので、身柄送検は一定時間以内に行わなければならないこととされているのです。

もちろん、48時間という短い時間で必要な捜査を終えることはできませんから、身柄送検後も捜査は引き続き行われることになります。

これに対して、被疑者を逮捕せずに捜査を行う場合には被疑者の身体的自由を拘束しているわけではありませんので、法律上送検までの制限時間は設けられておらず、警察官は必要な捜査を終えた段階で書類送検を行えばよいことになります。

事件が報道されてからずいぶん日数が経ってから書類送検が行われたとの続報を聞くことがあるのはこのためです。

このように、身柄事件の場合には警察官や検察官などの捜査機関は制限時間に追われながら捜査を行うことになるのに対して、在宅事件の場合には制限時間を気にせずに捜査をすることができます。

(2)在宅事件になる場合と身柄事件になる場合

では、どのような場合に身柄事件となり、どのような場合に在宅事件となるのでしょうか?

身柄事件と在宅事件の違いは逮捕の有無にありますので、これは「どのような場合に逮捕され、どのような場合に逮捕されないのか?」ということと同じことになります。

法律上、逮捕をするには、逮捕の理由と逮捕の必要性があることが要件とされています。

このうち逮捕の理由とは、その被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のことで、これは犯罪に抵触した疑いが高いすべてのケースで認められることになります。

問題は2つ目の逮捕の必要性です。

これは被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様などに照らして、被疑者に逃亡や罪証を隠滅するおそれがある場合をいいます。

つまり、被疑者に逃亡のおそれも証拠隠滅のおそれもない場合には逮捕の必要性はないことになりますし、犯罪や犯行態様が軽ければ軽いほど逮捕の必要性は低くなることにもなります。

被疑者が犯行を認めている場合には、それだけ逃亡や証拠隠滅のおそれも低いといえるでしょう。

また、犯したのが軽い罪である場合にも同様に逃亡や証拠隠滅のおそれが低いといえるでしょう。

逆に、被疑者が犯行を否認している場合、重い法定刑が定められている罪を犯した場合、前科がある場合などには逮捕の必要性は高まるということができます。

最終的にはケースごとの判断ということにはなりますが、一般的には、重い法定刑が定められている罪の場合、被害者が多数に及んだり被害者が死亡するなどの重大な結果が生じた場合、被疑者が否認している場合などには逮捕されて身柄事件になる可能性が高いといえます。

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