「うわ!」
今年10月、東京・青山の狭い路地を歩行者とぶつかりそうになりながら疾走する電動キックボード。避けた歩行者から思わず声が上がった。
歩行者が驚いていたのは、電動キックボードには、金髪の若い男性が運転する電動キックボードの後ろに、若い女性も乗っていたことだ。2人は周囲を気にすることなく、走り去っていった。
記者が目撃した二人乗りの電動キックボードは、「LUUP」と呼ばれるシェアサービスによるもので、都心を中心に利用が急速に増えている。
SNSでは、記者が目撃したようなLUUPの「二人乗り」や歩行者との接触、危険な歩道の走行、飲酒運転など違法が疑われる行為が毎日のように報告されている。
こうした危険な行為を見つけた場合、どうしたらよいのだろうか。
●「二人乗り」や「飲酒運転」は違法
電動キックボードについては道交法が改正され、2023年7月からは最高時速20キロ以下などの電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されて、運転免許なしで公道を走行できるなど新しいルールが適用されている。
このルールでは、飲酒運転は悪質犯罪とされ、「酒酔い運転」で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、「酒気帯び運転」で3年以下の懲役または50万円以下の罰金と厳しい処罰が科せられる。
他にも、「信号無視」は反則金6000円、「二人乗り」も反則金5000円となっている。もしも歩行者などとぶつかって交通事故を起こした際には、負傷者を救護したり、警察官に交通事故について報告する義務があり、これをしなければ「ひき逃げ」とされ、死傷結果が乗っていた人の運転に起因する場合には10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。
●事故のうち7割が東京で発生、レンタル車両は9割超
警察庁は今年9月、改正道交法が施行後1年間(2023年7月〜2024年6月)の「特定小型原動機付自転車」による交通事故や交通違反交通違反の状況を発表した。
発表によると、事故件数は219件で、負傷者は226人だった。都道府県別では、事故の7割が東京都で発生、レンタルの車両による事故が9割を超えていた。事故を起こした運転者は20代が最も多く、半数を占めている。
また、交通違反の検挙数は2万5156件にのぼった。主な違反は、「通行区分違反」が1万3842件(55%)、次いで「信号無視」が7725件(31%)となっている。
警察庁では今後、「ヘルメット着用促進」の強化や、関係事業者による交通安全教育の充実、悪質で危険な交通違反に対する重点的な取り締まりなどを強化するとしている。
配信: 弁護士ドットコム