3、離婚の弁護士費用を相手に支払ってもらえる唯一の方法とは?
離婚の弁護士用は安価なものではないということがお分かりいただけたことでしょう。
これだけの弁護士費用を相手に全額支払ってもらえる方法が、ひとつだけあります。
(1)相手と話し合って合意を得ること
それは、相手の合意を得て支払ってもらうことです。
自分の弁護士費用の支払いを相手に強制することはできませんが、話し合いの上で納得して支払ってもらえることもあります。そのためには、話し合いを有利に進めて、相手に自分の非を認めて反省してもらうことが重要となってきます。
(2)調停や訴訟で合意できることもある
調停や訴訟上の和解でも、合意さえできれば相手に支払ってもらうことは可能です。
ただし、調停や訴訟上の和解協議では裁判所を介しての話し合いとなることもあり、弁護士費用全額を支払ってもらう合意をするのは難しいのが実情です。支払ってもらえるとしても、慰謝料や解決金に少し上乗せされる形となるのが一般的です。
弁護士費用全額を相手に支払ってもらうためには、できる限り、話し合い(離婚協議)で決着をつける方が望ましいといえます。
4、離婚の弁護士費用が支払えないときの対処法
とはいえ、相手の合意を得て弁護士費用を支払ってもらうのは簡単なことではありません。最終的に支払ってもらえるとしても、話し合いを有利に進めるためにはまず、弁護士に依頼して費用を支払う必要があることも少なくありません。
離婚の弁護士費用を自分で支払えないときには、以下の対処法を検討してみましょう。
(1)親類などに相談する
第一に、両親や親戚など身近な人から弁護士費用を援助してもらうか、貸してもらうことが考えられます。
離婚は人生の一大事です。弁護士費用が用意できなかったばかりに不利な条件で離婚してしまうと、一生後悔することにもなりかねません。
身近に頼れる人がいる場合は、相談してみるとよいでしょう。
(2)無料相談を利用する
弁護士に依頼する前には、まず法律相談という形で弁護士に相談する必要があります。
法律相談料は30分につき5,000円程度が相場ですが、最近では無料相談を受け付けている法律事務所も多いので、無料相談を利用するとよいでしょう。
そして、相談の際に、依頼した場合の費用の見積もりを取ることです。弁護士費用についても相談すれば、多少は金額を配慮してもらえたり、分割払いに応じてもらえる可能性もあります。
なお、無料相談を受け付けている法律事務所でも、無料なのは初回の30分~1時間程度のみで、その後は有料となるのが一般的です。無料の範囲は事務所によって異なりますので、事前に確認しましょう。
(3)着手金無料または分割払いの事務所を探す
数十万円の着手金を一度に支払うことは難しくても、分割なら支払える場合もあるでしょう。着手金の分割払いに対応している法律事務所も多いので、探してみましょう。
事務所のホームページなどで「着手金の分割払い可」と記載されていなくても、相談すれば分割払いに応じてくれる事務所は少なくありません。無料相談を利用して相談してみることをおすすめします。
また、慰謝料などの金銭獲得が見込まれる事案では、着手金を無料とし、成功報酬で精算する法律事務所もあります。ただし、着手金無料の事務所では成功報酬が割高に設定されているため、トータルの弁護士費用がかえって高くつく可能性もあります。
弁護士費用の見積もりを取って比較検討する際には、トータルの金額を確認することが大切です。
(4)法テラスを利用する
法テラスでは、経済力が十分でない人のために弁護士費用の立て替え払いをしてくれる「民事法律扶助」という制度が利用できます。
この制度を利用した場合には、通常の法律事務所の料金体系よりも低額の報酬基準で弁護士費用が算定されます。かつ、その弁護士費用は法テラスから弁護士へ立て替え払いされますので、初期費用がかかりません。
利用者は立替金を法テラスに償還することになりますが、原則として毎月1万円ずつの分割払いとなります。
民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産の額が一定の基準以下でなければならないなど、いくつかの条件を満たす必要があります。詳しくはこちらの記事で解説していますので、ご参照ください。
(5)弁護士保険を使う
最近は、「弁護士保険」が普及しつつあります。もし、あなたが弁護士保険に加入している場合は、契約上の限度額の範囲内で弁護士費用を保険から支払ってもらえます。
ただし、弁護士保険には一定類型の事案について「不担保期間」が定められていることに注意が必要です。不担保期間中に弁護士に依頼しても、保険金は支払われません。離婚事件については、契約の始期(責任開始日)から3年間を不担保期間と定められているのが一般的です。
したがって、離婚問題に直面している方が今から弁護士保険に加入して、保険で離婚の弁護士費用を支払うことは難しいといわざるを得ません。
現在、離婚するかどうかで迷っている場合は、後々に備えて弁護士保険への加入を検討するのもよいでしょう。
配信: LEGAL MALL