3、浪費癖のある配偶者と離婚条件を定めるときの注意点3つ
浪費癖のある配偶者と離婚をする際には、離婚条件を定める場合にも注意が必要といえます。以下では特に注意すべき3つのポイントについて解説していきます。
(1)財産分与
夫婦が離婚する際には、婚姻中に築いた財産を分与することになります。財産分与は夫婦で折半するのが原則です。しかし、配偶者に浪費癖がある場合には、配偶者名義の借金が多く残っているというケースも多いと思われますので、次の点に注意が必要です。
夫婦の財産よりも負債の方が多いときには財産分与はできない
婚姻前からの財産(借金)は財産分与の対象外
相手方配偶者の個人的な借金(趣味・ギャンブルなどのための借金)は財産分与の対象外
生活のための借金は離婚後も夫婦が連帯して返済義務を負う
(2)浪費癖のある配偶者への慰謝料請求
浮気を原因とする離婚の場合のように、夫婦の一方に有責性(落ち度)がある場合には、他方への慰謝料が認められます。
たとえば、相手方配偶者が浪費を原因に多額のカードローンを抱えてしまったために家計が破綻してしまったというような場合には、相手方への慰謝料請求を認めてもらえる余地があるといえます。
協議離婚の場合には、慰謝料についても夫婦の合意で決めることになりますので、相手方が慰謝料の支払いに応じてくれるのであれば、その理由は問題になりません。しかし、一般的には浪費を原因に離婚するケースでは慰謝料は発生しないケースの方が多いといえます。
また、浪費癖のある配偶者からの慰謝料は、その支払いを確保することも重要といえます。離婚時には養育費を支払えるだけの資力がないというケースも少なくないと思われるからです。たとえば、分割払いや財産分与に吸収させて処理するなど、それぞれのケースに見合った現実的な方法で離婚条件を取り決めていくことも重要となるでしょう。
(3)浪費癖のある配偶者からの養育費
子のいる夫婦が離婚をした場合には養育費が発生するのが一般的です。浪費癖のある配偶者に養育費を請求する場合には、通常の離婚の場合よりも不払いのリスクが高くなることにも注意しておく必要があるでしょう。離婚をして単身生活になったことで、浪費がさらに激しくなり養育費を支払えるだけの金銭的な余裕がなくなってしまうことも考えておく必要があるからです。
不払いとなった養育費は、最終的には強制執行(給料の差押え)によって回収することが可能ですが、給料の差押えには、確定判決などの債務名義(権利関係を記した公証された書類)が必要となります。
この点、協議離婚の場合に夫婦で取り決めた離婚条項は、そのままでは債務名義とならないことに注意して必要があります。つまり、当事者間で作成した離婚条項しかない場合には、養育費の不払いがあった場合には元配偶者を相手に裁判(や支払督促手続)を行ってからでないと強制執行することもできないというわけです。
このような手間を回避するためにも、協議離婚の場合には、離婚条項を強制執行可能な公正証書(執行認諾文言付き公正証書)にしておくことをおすすめします。
まとめ
「離婚は、結婚の何倍ものエネルギーが必要」ということは、一般的によく言われることです。相手方配偶者の浪費癖を理由に離婚をする際には、離婚することについて相手方配偶者ともめてしまう可能性が高いだけでなく、離婚の条件の取り決めや、離婚後もトラブルを抱えるリスクを抱える可能性が高いといえます。
その意味では、自己に有利に離婚を進めていくだけでなく、スムーズに離婚後のトラブルを予防するためにも離婚問題に詳しい弁護士のサポートが必須といえます。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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