信用毀損罪について|具体的なケースと対処法

信用毀損罪について|具体的なケースと対処法

5、信用毀損罪の被害を受けたときの対処法

SNSや各種インターネットサービスが普及したことから、いつ誰が信用毀損罪の被害を受けるか分かりません。

そこで、信用毀損罪に該当するような虚偽情報などを掲載された場合には、できるだけ早期に以下3つの対処法を検討するべきだといえます。

ネット上の書き込みについて削除申請をする
加害者に対して損害賠償請求をする
刑事告訴する

(1)ネットに書き込まれたときは削除を求める

インターネット上に虚偽の風説などが書き込まれたときには、投稿者やサイト管理人に対して該当箇所の削除を申請しましょう。

その時点で削除を受け入れてもらえれば、更なる被害の拡大や情報の拡散リスクを回避・軽減できます。

ただし、匿名掲示板などに虚偽情報が掲載されたときには、管理人に削除申請をしても対応してもらえないリスクがあります。

この場合には、IPアドレスから投稿者を割り出すなどの労力を割く必要があるので、警察に被害を申し出たうえでネット犯罪に強い弁護士に相談するのがおすすめです。

(2)損害賠償請求をする

虚偽の風説の流布や偽計によって信用が毀損された場合には、不法行為に基づく損害賠償請求をする余地があります(民法第709条)。

たとえば、SNSなどの書き込みによる風評被害が原因で売上げが落ちたときには、書き込みをした者に対し損害賠償請求をすることで、損害額の賠償を受けられる可能性があります。

ただし、店舗が被った被害額が高額な場合、投稿者個人の経済力では充分な賠償を期待できないリスクがついて回ります。

そのため、信用毀損罪に該当するような投稿を発見した場合には、まずは削除申請などの被害拡大防止策を優先するべきでしょう。

(3)刑事告訴をする

信用毀損罪に該当するような書き込み等を発見したときには、刑事告訴がおすすめです。

そもそも信用毀損罪は非親告罪ではありますが、前で述べたとおり捜査機関が主体的に該当の投稿内容を認知して捜査活動に着手してくれる可能性は高くありません。

一方で、被害者が警察に対して告訴をしてそれが受理されたときには捜査機関に捜査義務が発生するので、犯人検挙に向けて前向きな対応を期待できるでしょう(刑事訴訟法第242条など)。

また、信用毀損罪について刑事告訴すれば、犯人を検挙する以外にも以下のようなメリットが生じる点で大きな意義があると考えられます。

告訴した旨を投稿者に伝えることで自主的な削除を期待できる
捜査機関が犯人検挙に向けて対応してくれるので情報照会などの労力を節約できる
刑事告訴によって犯罪が明確になれば損害賠償請求訴訟を有利に展開できる

信用毀損罪だけではなく、何かしらの犯罪被害者になったときには、民事・刑事の両面から被害回復を目指すのが効果的な戦略です。

特に、民事上の責任追及のハードルが高い信用毀損罪のような犯罪類型では刑事手続が実質的な被害者救済に役立つと考えられるので、告訴を行うべきでしょう。

6、信用毀損罪の被害で困ったら弁護士に相談を

信用毀損罪に該当するような投稿でさまざまな被害を受けたときには、弁護士に相談するのがおすすめです。

なぜなら、弁護士に相談することによって以下のようなメリットが得られるからです。

刑事告訴段階で弁護士がつくことで警察が捜査に前向きに取り組んでくれる
弁護士の名前で削除申請をすれば投稿者・管理人に受け入れてもらいやすくなる
虚偽情報の拡散によって二次被害が発生したときにも臨機応変に適切な対策をとってくれる
風説の流布等によって生じた損害額を加害者に請求してくれる

インターネット社会の弊害として、人々の好奇心を煽るような内容であれば情報自体が不正確・虚偽であったとしても、あたかも真実であるように拡散されるという点が挙げられます。

虚偽の風説等による被害を最小限に抑えるには、早期の対策が不可欠なので、まずは弁護士に相談するのがお勧めです。

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