下半身事情はどうでもいい
とても印象的な場面がある。第4話、地面師たちへの提案をひかえた青柳のチームが夜遅くまで資料を作成する。彼が納得する資料ができ上がり、部下のひとりに1万円札を渡して、買えるだけのビールを買ってこいと命じる。
喜ぶ部下たちを横目に、青柳はある部分をいじる。カメラが机の下へ移動する。青柳が自分の股間をがっしりにぎっている。大型案件をまとめて挽回しようとするエネルギーが、下半身と連動するもんなんだなぁ、こういう人は。でもそんな下半身事情をいきなり見せられてもねぇ……。
街頭演説中のれいわ新選組代表・山本太郎氏は、玉木代表の不倫発覚について、「下半身問題で国民は死ぬことはないんですよ」と簡潔に述べた。政治家としての倫理観はもちろん看過できない。でも国民にとって野党党首の下半身事情はほんとうにどうでもいい。
大根監督がわざわざカメラをなめらかに移動させて写す青柳の下半身事情が、視聴者にとってどうでもいいことであるのとほとんどイコールなくらいどうでもいい。
大仕事のあとの興奮と快楽
11月11日、不倫が発覚した玉木代表は記者会見をした。「浮かれていた部分があった」と話していたが、X上では、「玉木のあの目が血走ってた謝罪会見の時の顔の感じ地面師の山本耕史の最後のシーンの表情の雰囲気に近い」や「玉木さんから感じる青柳感半端ねぇわ」など、類似点を指摘する投稿がたくさんあった。
詐欺だと知らず大型案件で挽回できたものと歓喜する青柳が、ホテルの一室で社長秘書相手に羽目をはずす。大仕事のあとの興奮と快楽。彼の股間が爆発する。
現職の政治家とフィクションの人物を安易な類似で結び付けるのは留保すべきだし、どこまで類似性があるか判然としない気もするが、でも正真正銘、どいつもこいつもいけすかないことでは共通している。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
配信: 女子SPA!
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