安倍政権の成長戦略では、「女性の活躍促進」を大々的に掲げています。働く女性を増やし、管理職への女性登用を進めることで、社会で活躍する女性を増やそうとしています。しかし、女性の社会進出は、「男女雇用機会均等法」の成立以前よりいわれていることです。なぜ今、「女性の活躍促進」が、改めて強調されているのでしょうか?
日本では少子高齢化の進行で、将来的に労働力人口が減少していきます。人口が減るだけでなく、高齢者の割合が高まることで、現役世代の負担は大きくなっていきます。そこで政府は、「我が国最大の潜在力」として、女性の労働力に期待を寄せているのです。
よって、働きたい女性にとっては、これまでよりも仕事と家庭を両立しやすい社会環境が整うことが期待できます。
昨年から政府は、待機児童の解消、育児休業や短時間勤務を選択しやすいような環境の整備、男性の家事・育児への参加促進といった政策を進めています。
ところで、OECD加盟国では、働く女性が多い国ほど出生率も高い傾向があります(※1)。
例えば、フランスやオーストラリア、イギリス、スウェーデン、アメリカなどでは、日本よりも女性の労働力率が高いのですが、合計特殊出生率(※2)(1.9~2.0、日本は1.43 ※3)も高くなっています。
男性だけでなく女性も働いた方が、経済的な余裕が出て、子どもを産み育てやすくなるかもしれません。しかし、実際には仕事と子育ての両立というものは簡単ではないため、女性の就業率が高いと出生率は下がる、という感覚を持つ方が多いのではないでしょうか。
では、OECD加盟国女性の就業率と出生率の高さには、どのような関係があるのでしょう?
以前は、女性の就業率が高い国ほど出生率は低かったのですが、1980年代半ばに逆転しました(※4)。現在、出生率が高い国々では、女性が仕事と家庭を両立できるように社会環境を整備しはじめています。その結果、マイナスの影響がやわらぎ、出生率が上がるようになったのです(※5)。
各国の施策をみると、かつては、フランスの家族手当のような経済的な支援が中心でしたが、1990年代から、保育サービスや育児休業制度などの両立支援もあわせて進められています。
女性が活き活きと輝き、本当の意味で「女性の活躍」を促進するような視点に立つ政策に期待したいものです。