監修医師:
佐伯 信一朗(医師)
兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学病院産婦人科、兵庫医科大学ささやま医療センター、千船病院などで研鑽を積む。兵庫医科大学病院産婦人科外来医長などを経て2024年3月より英ウィメンズクリニックに勤務。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、母体保護法指定医。
早産の概要
早産とは、妊娠22週0日から37週0日未満で出産することを指します。世界保健機関(WHO)によると、早産は全出産の約11%を占め、年間約1500万人の早産児が生まれています。早産は、新生児死亡と罹患の主要な原因であり、長期的な健康問題のリスクを高める可能性があります。
早産は、妊娠週数に応じて以下のように分類されます。
極早産:28週未満
超早産:28週以上32週未満
中等度早産:32週以上34週未満
後期早産:34週以上37週未満
早産児は、肺や脳などの臓器が十分に発達していないため、様々な合併症のリスクがあります。これには、呼吸窮迫症候群、脳室内出血、壊死性腸炎、未熟児網膜症などが含まれます。また、早産児は長期的に発達遅延や学習障害のリスクが高くなる可能性があります。
早産の原因
早産の原因は多岐にわたり、単一の要因だけでなく、複数の要因が複雑に関連しておりまだ原因のわかっていない事もたくさんあります。主な原因としては、子宮内感染、多胎妊娠、子宮頸管無力症、胎盤異常、母体の全身疾患などが挙げられます。
子宮内感染は、早産の重要な原因の一つです。特に、細菌性膣症や尿路感染症が関連していることが知られています。多胎妊娠では、子宮の過度な伸展や胎盤機能不全のリスクが高まり、早産のリスクが単胎妊娠の5-10倍になるとされています。子宮頸管無力症は、子宮頸部が妊娠中期から後期にかけて徐々に開大していく状態で、早産の原因となることがあります。また、前置胎盤や胎盤早期剥離などの胎盤異常も早産のリスクを高めます。母体の全身疾患、特に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、早産のリスクを増加させます。さらに、ストレスや過度の身体活動、喫煙、アルコール摂取、薬物使用なども早産のリスク因子となります。
配信: Medical DOC