「腎臓がんの再発率」はどれくらい?治療法や治療後の経過も解説!【医師監修】

「腎臓がんの再発率」はどれくらい?治療法や治療後の経過も解説!【医師監修】

腎臓がんは、初期症状はほとんどなく、特に男性に多くみられるがんです。

ほかのがんと同様に、ステージが進むにつれて生存率が下がり、再発率も高くなる傾向にあります。

治療により完治が可能ですが、治療後の再発が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、腎臓がんの再発率や治療法について解説します。

腎臓がんの再発率について気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

≫「腎臓がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や検査方法も解説!

監修医師:
小幡 史明(医師)

自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

腎臓がんとは?

腎臓がんとは、腎臓にできる悪性腫瘍です。発生頻度は、人口10万人あたり2.5人程度で、50~70歳代の男性が多く罹患している傾向にあります。腎臓は肋骨の下端にあり、そら豆のような形をした臓器で左右に1つずつあります。
血液を濾過し、老廃物や余分な塩分を尿として排泄する働きをします。初期の段階では腫瘍が小さく、自覚症状はほとんどありません。腫瘍が大きくなると、血尿・背部や腰部の痛み・腹部のしこりなどが現れます。全身的には、全身倦怠感・食欲不振・体重減少・貧血などの症状が見られます。
腎臓がんはほかの臓器に転移することがあり、転移した腫瘍が見つかってから詳しい検査で腎臓がんが発見されることが多いです。

腎臓がんの再発率

腎臓がんの5年生存率は、腫瘍の進行度によって大きく異なります。腎臓に限局している腫瘍の場合は73~93%、腎周辺脂肪組織に浸潤している腫瘍の場合は63~77%、遠隔転移がある腫瘍の場合は11~30%と報告されています。
つまり、腎臓にとどまる小さな腫瘍は90%以上の高い治癒率ですが、治療後も再発の可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。

腎臓がん全体の再発率

腎臓内にがんが留まった状態で根治的に腎臓を摘出しても、20~30%の方に再発がみられるといわれています。

ステージ別の再発率

腎臓がんは、1期~4期にステージ(病期)がわけられ、進行するにつれて数字が大きくなります。原発巣の大きさ・リンパ節への転移の有無・ほかの臓器やリンパ節への転移の有無というカテゴリを加えた組み合わせで、ステージは決められます。各ステージ毎の再発率は下記のとおりです。

ステージ1(早期・局所性):約5%~15%

ステージ2(局所進行)約15~30%

ステージ3(局所進行):約30~50%

ステージ4(遠隔転移あり):約50~80%

ステージ1~2は、再発率は低い傾向にあり、手術後の定期的な検査やフォローアップによる経過観察が必要です。ステージ3の再発リスクは中程度で、やや再発しやすい状態であるといえます。ステージ4はすでにほかの臓器への転移がある状態で、再発率が高くなります。

腎臓がんが再発しやすい期間

腎臓がんが再発しやすい期間は、術後1~2年目です。手術で取り切れなかった小さな転移や治療後に残っていた腫瘍細胞が再び増殖する可能性が高いからです。そのため、定期的な受診や検査による経過観察を行う必要があります。
術後2~3年を過ぎると、再発リスクは低くなりますが、4~5年までは再発の可能性が残るため注意が必要です。術後5年以上が経過すると、多くの患者さんで再発のリスクはさらに低くなります。

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