適応障害という病名を時折耳にしますが、実際にどのような病気なのかはあまり知られていません。
また適応障害はうつ病とも混同されやすく、病気に関して誤解が生じている場合も見られます。
この記事では適応障害とうつ病の違いを解説するとともに、適応障害の診断基準や治療方法・ご家族が適応障害になったときの対応方法も紹介します。
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※この記事はMedical DOCにて『「うつ病と適応障害の違い」はご存知ですか?医療機関にかかる目安も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
適応障害の早期発見やうつ病への進行
適応障害を早期発見する方法はありますか?
適応障害では、焦燥感・不安感・抑うつ・行動異常・身体の不調などに気付き医療機関を受診することにより病気の早期発見がはかれます。ご家族やまわりの人がまず患者さんの変化に気付くケースも見られ、それも病気の早期発見につながっています。またストレスチェックを行うのも適応障害の早期発見に役立つ方法です。職場などでは定期的なストレスチェックの実施が勧められます。また人間ドックが身体疾患だけでなくストレス関連疾患の予防と早期発見のきっかけとなるように、健診項目にストレスチェックや面接を組み込むことが今後重要となるでしょう。
家族の適応障害に気付いたらどのように対処すればよいですか?
ご家族の様子がいつもと違うことに気付いたら、まずはじっくり話を聴いてあげてください。ただし患者さんが話したくない様子を見せたときは無理に聞き出そうとする必要はありません。話したくなったらいつでも聞く態度を示しておくのがよいでしょう。そのうえで会社であれば産業医や相談窓口に相談するよう促してみてください。患者さん本人が相談をためらうようであればご家族からの相談も可能です。ご家庭ではリラックスできる環境を作るよう努めてください。それでも症状の改善が見られないようでしたら医療機関の受診をすすめましょう。精神科医・心療内科医を受診するのが妥当ですが、かかりつけ医がいる場合は、まずそこを受診すると、専門の医師を紹介してくれるかもしれません。ご家庭では過度に励まさない・無理に特別なことはしないなどの配慮も有効です。患者さんが医療機関を受診する際は付き添ってあげると一緒に主治医の話が聞け、患者さんのよりよいサポートのしかたを知ることもできます。
うつ病に進行してしまうこともあるのでしょうか?
症状に改善が見られず病気が進行した場合に、適応所街がうつ病や不安障害に進行するケースは少なくありません。適応障害が適応障害であり続ける確証はなく、むしろうつ病になりやすい病気ともいわれています。うつ病への進行を防ぐために患者さんの経過観察には慎重さが求められ、こまめな診断の再検討が必要です。
編集部まとめ
適応障害には明確な原因となるストレスが存在し、そのストレスが消えると症状も改善にむかうことがわかりました。その点がうつ病と異なります。
適応障害の治療には原因となるストレスから一時離れたりそのストレスをなくしたりするように努力することが大切です。外因的要素であるストレスを取り除く対策を取ると同時に、患者さん本人の認識を変化させるなど内因的要素へのアプローチも必要です。
適応障害で症状の改善が見られない場合はうつ病に進行するケースも少なくないので治療と診断には慎重な態度が求められます。
ご家族が適応障害ではないかと感じた場合は、話をじっくり聞くなどリラックスできる環境を作ると同時に早めに医療機関への受診をすすめてください。受診には付き添って行くとその後の治療に役立つでしょう。
参考文献
適応障害(厚生労働省)
適応障害について
ご家族にできること(厚生労働省)
配信: Medical DOC
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