毎週木曜日よる9時から『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日)が放送されている。テレビドラマの続編を心から楽しむのは久しぶりだなぁ。
前作『ザ・トラベルナース』(2022年)から岡田将生と中井貴一の名コンビぶりが、楽しく、痛快、実に達者なこと。年少相手にバディを組めるベテランは中井貴一しかいないと感じる。さらに今回はコンビから世代間トリオが結成されている、
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の名コンビについて、トリオによる面白ドラマに期待を込めて解説する。
「バカナース」発言を端緒に
ニューヨークから帰ってきたトラベルナース・那須田歩(岡田将生)が、新しく働くことになった西東京総合病院のナースステーションで、「あのうるさいおっさん」を探している。「あのうるさいおっさん」とは、前の病院で一緒に働いていたベテラン看護師である九鬼静(中井貴一)のこと。
第1話冒頭、ニューヨークの病院で治療する静の手術に歩が立ち会っていた。手術は無事に成功し、退院をお祝いしようと病院前で待つ。
歩から花束をもらった途端に、静は口元をおさえる。お祝いに感動したのではない。カサブランカの花粉にやられてしまっているだけだ。静がハンカチでおさえた口を開けば、歩の看護のいたらなさについて事細かに叱責し始める。
前作『ザ・トラベルナース』最終話の空港場面では、「今度は僕が静さんを守る」と言って仲良く渡米したというのに。でもそうこなくっちゃ。静による「バカナース」発言を端緒に、すぐに口げんかになる。
静がプイとそっぽを向くと、歩がプンとムカムカして対抗しようとする。ケンカするほど仲がいいという表現は、彼らのためだけにあてはまると思うくいの名コンビぶりを再確認させてくれる。
画面の外から美しい名調子の声
前作から続編への橋渡しが首尾よく済んだところで、冒頭でふれたナースステーションのやり取りが描かれる。岡田将生と中井貴一の名コンビぶりを最初から見せられてしまうと、どうしても一方が画面から不在であることに物足りなさを感じてしまう。
コンビなのだから、ふたりでひとつのバディ。看護部長・愛川塔子(寺島しのぶ)が静に早く帰ってきてくれと連絡しているのだが、当の本人はニューヨーク暮らしを満喫しているからとはぐらかす。ここはひとまず歩のソロ活動が中心になるのか。と思ったら、きたきた静が割とすぐ再登場する。
帰国した歩が入ったのがおむすび屋だった。店名が「脈屋」。前の病院寮で寮母をしていた土井たま子(池谷のぶえ)が店員として働いている。
夜になってまた訪れた歩がたま子と話していると、画面の外から美しい名調子の声が聞こえる。厨房の奥から包丁を持った静がでてくる。歩が絶叫する。実はこの店は静が経営している。ちゃーんと帰国していたのだ。
配信: 女子SPA!