自己愛性パーソナリティ障害とモラハラの関係

自己愛性パーソナリティ障害とモラハラの関係

配偶者が自己愛性パーソナリティ障害を持っている場合、それがモラハラの原因となることがあります。

今回は、

配偶者のモラハラの原因が自己愛性パーソナリティ障害に関連している可能性
配偶者が自己愛性パーソナリティ障害を持っているかどうかの判断基準
自己愛性パーソナリティ障害を持つ配偶者との適切な対処法

について詳しく解説します。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、自己愛性パーソナリティ障害とは?

モラハラを行う配偶者が自己愛性パーソナリティ障害かどうかは、DSM–5という判断基準を用いて判断します。

以下の項目のうち5つ以上該当すると自己愛性パーソナリティ障害と判断されます。

自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待します)。
限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれています。
自分が特別であり、独特であり、ほかの特別なまたは地位の高い人達に(または施設で)しか理解されない、または関係があるべきだ、と信じています。
過剰な賞賛を求めます。
特権意識、つまり特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待します。
対人関係で相手を不当に利用します。つまり自分自身の目的を達成するために他人を利用します。
共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしないです。
しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込みます。
尊大で倣慢な行動または態度。

引用:杉浦こころのクリニック

自己愛性パーソナリティ障害は、以下のように生育環境や遺伝的要素が原因だと考えられています。

(1)生育環境

自己愛性パーソナリティ障害に陥る原因の一つが幼い頃からの生育環境にあります。

例えば

過剰に厳しい
過剰に優しい

家庭で育つと、わがままに育ったり自分自身の感情を抑えこんで生きたりすることになるので、自分の価値が歪んだ形となってあらわれやすいです。

このように子供の自己感覚を発達させるのに役立たない環境で子供を育てることで自己愛性パーソナリティ障害が発症する可能性があります。

(2)遺伝的要因

この他、遺伝的要因も自己愛性パーソナリティ障害の一つの要因だと言われています。

2、配偶者のモラハラの原因は自己愛性パーソナリティ障害?

自己愛性パーソナリティ障害の患者は大きく3つの特徴を持ちます。

優越性の保持(自分が特別であるという感覚)
賞賛の渇望
共感能力の低さ

以下、自己愛性パーソナリティ障害の症例に合わせてそれがモラハラの原因となってしまう可能性について説明していきます。

(1)自らの優越感を維持するためにモラハラを行なってしまう可能性

自己愛性パーソナリティ障害の患者は特徴として自らの能力を過大評価し、他者を過小評価している傾向にあるため、あなたにも人格否定などをしてしまうかもしれません。

たとえば、専業主婦の妻に対して

「働いていないお前は無能だ」
「お金を稼いでこないお前には何の価値もない」

などと罵り、「仕事をしてお金を稼いでいる自分が上、専業主婦の妻が下」といったように自分の方が優れていることを過度に主張します。

他にも、日常生活で妻の粗探しをし

「家に居るだけで食べさせてもらっているのに、満足に掃除もできないのか」
「こんなひどい料理を作るお前は無能だ」

などと妻の行いを批判することで自分の権威性を示そうとします。

相手を貶めることが権威性を高める手段だと考えているケースが多いのです。

(2)賞賛への過剰な欲求からモラハラを行ってしまう可能性

自己愛性パーソナリティ障害の患者は賞賛を渇望しているため、配偶者のあなたから賞賛の言葉が返ってこないことに腹を立ててしまう事があります。それが暴言などにつながっている可能性があります。

たとえば、普段仕事を頑張っている自分に対して自分が求める

感謝の言葉
ねぎらいの態度

などがないと、それだけで憤慨しモラハラに発展します。

客観的に見れば、夫も妻に対して料理や家事をしてくれることに感謝の気持ちを述べておらずお互い様だったとしても、自己愛性パーソナリティ障害の患者にはそんな客観的な意見は通用しません。

彼らにとっては、自分が求める賞賛が手に入っているかどうかが大切なのです。

(3)共感性の低さからモラハラを行なってしまう可能性

自己愛性パーソナリティ障害の患者の特徴として共感性の低さが挙げられます。共感性が低いためにあなたの人格否定などを軽率に(あるいは無自覚に)行ってしまう可能性があります。

たとえば、あなたが

悲しかったこと
つらかったこと

を夫に話しても、夫の共感性が低いと「あっそ」などと軽くあしらわれたり「しょうがないじゃん」と全く理解を示してもらえなかったりします。

共感できないだけでなく

「そんなことで悩むお前は人間として価値がない」
「お前の話なんかどうでもいい」

などとモラハラに発展することも少なくありません。

以上のように、モラハラを夫が行っている場合は自己愛性パーソナリティ障害である可能性があります。

以下の判断基準を元に、夫が自己愛性パーソナリティ障害かどうかを確認してみてください。

関連記事: